Vol.135子どもの理解に寄り添う集団アクティブ・ラーニングの手法を考える

2022.01

 一斉授業による教師から子どもへの一方通行な教授の授業方法に警鐘が鳴らされ、「主体的・対話的で深い学び」をテーマに、「協働的な学び」や「個別最適な学び」が推奨されるようになりました。この2つの学びは一見相反するように思えますが、文部科学省初等中等教育局教育課程課が作成した令和3年3月版『学習指導要領の趣旨の実現に向けた個別最適な学びの一体的な充実に関する参考資料』では、2つの学びの一体的な充実を図ることが示されています。
 そこで今回は、その2つの学びの充実を図る集団アクティブ・ラーニングの手法「ピア・インストラクション」を紹介します。
 「ピア・インストラクション」とは、ハーバード大学の物理学者エリック・マズールによって考案された、大規模講義における学習者の議論を組み込んだアクティブ・ラーニング型の授業方法のことです。ピアとは、同級生、友人等の対等者を指します。つまり、仲間同士でインストラクトする(教え合う)活動です。主に知識獲得型の科目で取り入れやすい手法だとも言われており、大学の講義などで取り入れられ始めています。
 まず、学習者は授業で扱う範囲の予習が必要になります。授業の初めに予習で学んだ知識を使って答えを導くことができる多肢選択問題(コンセプトテスト)を教師が出題し、学習者が解答します。その解答結果により、次の手法が異なります。正答率が70%以上であれば学習者の理解度が高いとみなされ、教師が簡単に解説をし、次の学習に進みます。反対に正答率が30%未満であれば教師によって問題の補足やヒント、予習範囲の概念の説明が行われます。その後、再度コンセプトテストを行います。正答率が30%~70%であれば、学習者同士のディスカッションになります。正答している学習者の説得の次第で次の学習が決まります。その後、再度コンセプトテストを行い、正答率が70%を超えれば教師による簡単な解説を経て次の学習に進みます。
 このように、学習者の理解度に合わせて学習を行うことで、学びを確かなものにできると考えられています。

  1. コンセプトテスト(概念理解をみる問題)の実施
  2. ※正答率によって次の手法が異なる。
    • 30%未満⇒教師によるヒント・問題の説明をした後再度①へ
    • 30%~70%⇒②へ
    • 70%以上⇒④へ
  3. 周囲とディスカッション    
  4. 再度回答
  5. 教師による解説

さらに学習者主体にしていくためには、教師による説明を学習者に委ねてもよいでしょう。一見個別最適ではないように思われる「正答している学習者」も、他の学習者に理解してもらうために説明の仕方を試行錯誤することで考える力が伸びていきます。
 子どもの力は無限大です。「子どもの力を信じて頼ってみる」こんな手法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

相模原市立鹿島台小学校
宮村優紀
pdfをダウンロードできます!