「デジタル教科書って、本当に使いこなせるのかな?」
そう思っている先生もいるかもしれません。私たちが子どもの頃は、教科書といえば紙が当たり前でした。でも、2024年度から全国の小中学校で、学習者用デジタル教科書の導入が始まっています。「やっぱり紙の教科書の方が使いやすいんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。しかし、紙の教科書とデジタル教科書は、比較できるものではないのです。それぞれの良いところを知ればきっと、「なるほど!」と納得できるはずです。
デジタル教科書は、英語の授業から導入されました。なぜ英語からかというと、英語のデジタル教科書には、音声や動画が組み込まれているからです。ネイティブの発音を自分のタイミングで、何度でも聞けるのはデジタルならではのメリットです。子どもたちは、流暢な英語を繰り返し聞いて、自分のタイミングで発音練習ができます。
算数では、特に図形の単元でデジタル教科書が力を発揮します。立体図形を展開したり、回転させたりするアニメーションがあるので、頭の中でイメージしづらい形も動かしながら理解できます。面積を求める問題でも、図形を動かしたり、増やしたりして、試行錯誤しながら学べる教材もあります。間違えてもすぐに消してやり直せるのも、デジタルの良い点です。このように、操作しながら学べるインタラクティブな学習で、子どもたちは算数の概念をより深く理解できるようになります。
国語や社会ではどうでしょう。「長い文章は、やっぱり紙の方が読みやすいんじゃないか」と思う先生もいるかもしれません。実は、最近の研究(1)で面白い結果が出ています。小学生に国語と社会の教科書を使ってもらったところ、文章を読むこと自体は紙とデジタルで使いやすさの差はほとんどありませんでした。
デジタル教科書の方が使いやすいという結果が出たのは、グラフや写真などの資料を読み取るときです。「資料を大きくできるから、細かいところも見やすい」という子どもの声もあったようです。一方、情報を集めるときは、紙の教科書の方が使いやすいという結果が出ました。紙だと、複数のページを広げて全体を見渡したり、ノートや他の資料集と自由に行き来したりと、物理的な操作のしやすさを感じる子どもが多かったようです。そして、集めた情報を整理・分析するときには、デジタル教科書の方が使いやすいという結果になりました。「根拠となる資料をスクリーンショットして引用しやすい」という意見からも分かるように、子どもの思考を整理したり、学習をまとめたりする活動をデジタル教科書がサポートしてくれると考えられます。
このように、紙の教科書とデジタル教科書は、それぞれ得意なことが違います。先生が「教えやすい方」を選ぶのではなく、子どもたちが「学習しやすい方」を選べるようにすることが大切です。それぞれの良さを理解して、子どもたちが自分で学びを進められる環境を整えてあげることが、私たち先生の重要な役割なのではないでしょうか。