Vol.142生徒理解の仕事術
教師が掴もうとする姿勢の重要性

2022.05
多感な中学生は大人に話さなくなる傾向があります。そうした中で生徒理解を充実させるにはどうしたらよいのでしょうか。 本音を出しやすく 生徒が思いをアウトプットする機会を意図的に作ります。例えば生活ノートに1週間の感想を書かせます。短くコメントを付けて返していると悩みなどを書く生徒も出てきます。また、学級のようすや自身の目標などをテーマにしたミニアンケートも効果的です。言語化することで自己理解も進みますし、こちらも生徒の思いを掴むことができます。教室に裏紙をストックしておくとすぐに実施できます。 教師が失敗談などの自己開示をすると、失敗しても大丈夫なんだという安心感が教室に生まれます。また、人間ですから教師も失敗します。そうした時は素直に謝ることも大切です。生徒は教師の姿勢に敏感であり、心を開くかどうかは教師の姿勢次第だと言えます。
できるだけ生徒のそばに 教科担任制の中学校では担任学級の授業がない日もあります。副担任であれば授業だけの関わりになることもあります。ですから、生徒理解のためには積極的に生徒のところに足を運ぶことが大切です。登校時や休み時間は教室や学年のフロアにいる。早めに次の授業のクラスに行く。生徒同士の人間関係や意外なよさに気付くことができます。いつもそばにいることで相談しやすさを感じる生徒も出てきます。 また、他教科の授業、部活動、委員会活動や係活動のようすを見に行くと、違った一面を発見できます。短時間でも足を運ぶことがポイントです。 いろいろな顔の理解 仲がよい友達、クラス、部活動、他の先生、家庭……それぞれの場面で生徒はいろいろな顔を見せます。「自分の前では……」と言わず、すべてをその生徒の一面として理解することが大切です。 だからこそ、情報はいろいろなところから掴むようにします。例えば他の先生方とようすを共有するとよいでしょう。また、保護者とのやりとりも生徒理解につながります。私は学級通信に通信欄を作り、自宅で頑張っていることや相談したいことなどについて書いてもらいました。
一人一人を必ず見る 話しかけてくる生徒、目立つ行動をする生徒に目がいきがちです。もの静かな生徒との関わりは意図せずに少なくなりがちなことを忘れてはなりません。学級担任としても教科担任としても全員に1日1回は話しかける。机間指導などでアイコンタクトをする。「あなたのことは気にかけていますよ」という気持ちをもち、行動することが大切です。表面的には関わりをもちたがらないように見える生徒も、どこかでつながりを求めているものです。皆一人一人と関わる姿勢をもつことが生徒理解の土台です。
多摩市立落合中学校
難波裕司

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