Vol.127子どもが充実感をもてる指導方法と教室環境

2021.6

 特別の配慮(支援)を要する児童が通常学級においても数人は必ずいることが当たり前となった現在の小学校現場において、学級担任として、いかに、特別支援を要する児童を含む全ての児童が充実感のもてる良き教育実践をしていくかということが、私自身の大きな問題意識としてあります。
 特別支援を要する児童にとっての配慮は、全ての児童にとっても有効であるという考えから、通常学級における特別支援教育として私が日常的に取り組んでいる指導方法と学級環境の在り方について実践例をお伝えします。

1.指導方法における特別支援
 〇1時間の見通しをもった学習(体育)
 体育の学習は、体育館や校庭など机や椅子のないいわば自由な空間に児童は身を置いて学習することになります。こうした空間的自由な環境は、特別支援を要する児童にとって多様な刺激に左右され、学習への意識や見通しがもてず、落ち着きを失ってしまいがちです。また、教師の指示は形として残らず、学習活動への理解が曖昧になってしまいがちです。
 そこで、学習活動の流れを表に箇条書きにしておくことによって、児童たちは次に何をすればよいのか見通しをもって安心して学習に取り組むことができます。また、時間を見ながら計画性をもって取り組むことができます。この手立ては、教室で行う授業においても同様の効果を発揮します。私は、体育だけでなく、国語(特に文学的文章や説明的文章の学習)においても同様の手立てを行っています。
 〇学びのスタイルを示す
 集団で学ぶことの良さの一つは、各自の考えを出しあったり、高め合ったりするなかで、コミュニケーションの力が磨かれることです。しかし、その活動に対して特別支援を要する児童だけでなく多くの児童が苦手意識をもっています。
 そこで、私は「自分の考えを説明する方法」「その考えに共感したり、付け足したりする方法」など、発表の具体的な言い回しをまとめ、教室に掲示しています。はじめは、この掲示物を頼りながら、自分の考えを言う児童も慣れてくると、この言い回しにのせて自分の考えを無意識に発言するようになってきます。また、さらに経験を重ねると、この言い回しを自分なりにアレンジした表現ができるようになってきます。

2.教室環境における特別支援
 〇場の構造化
 教室環境が雑然としていると、その刺激によって特別支援を要する児童は学習への集中を切らし、落ち着きを失ってしまいがちです。教室環境を整えるために、物品の位置を決めることは非常に効果的です。例えば、給食の配膳台、机、鉛筆削りなどの教具などの位置を印付けます。また、教室前方の棚や掲示板などを目隠しカーテンで仕切るなど、黒板の周りの刺激を減らしています。
 特別の配慮(支援)を要する児童を含めた全ての児童にとって必要な支援とは何かを日々考えながら、実践を重ねています。

東京都日野市立日野第六小学校
中原 祥雄
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