Vol.140地域連携の仕事術

2022.04

 「地域との協働」、「コミュニティ・スクール」等、学校のことを考える時に、「地域」という言葉を目にする機会も増えて来ました。私は、地域の一員として、中学校でボランティアをした経験があります。この「地域」側として学校に関わった経験も含め、コミュニティ・スクールで勤務している教師として、地域連携の仕事術についてお伝えします。

1 「地域」って誰?
 「地域」といっても、昔ながらの商店街があるところ、住宅地等で状況は異なります。その中で学校に関わってくれる方として多いのは、町会の会長さんや元PTA会長、民生委員等、地域で様々な運営をされている方々です。ですから、その地域の歴史や住民のことをよく知っています。授業で話をしてほしい人や情報を知りたい時に、非常に頼りになります。ここでのポイントは、「頼りになる」ということです。地域の方々は、一人の社会人として、学校の教育に関わるということは、とても誇らしいことだと言っています。「出産したあとで仕事はまだできませんが、短時間でもこうして自分が役に立てる場があることが本当にありがたいです」と、感謝されたこともありました。だから、地域の方々には、遠慮せず、積極的に情報や協力を求めてください。

2 地域とのつながり方
(1)挨拶からつながる
 当たり前ですが、挨拶や応対をすることは、「つなぐ」の第一歩であり、核です。地域の方は、職員室で誰に、どう声をかけたらよいのか、最初は緊張して来校されますが、こうした日常の何気ない挨拶から会話が生まれ、その方を知ることができます。
(2)地域の方と授業をする
 地域の方と授業をするならば、どの授業が効果的かという前提で考えてみましょう。一年に一度、自分の授業に専門家や経験者が入ってくれるとしたら、どういう方がよいのかと具体的に考えてみてください。私は、中学校の国語科として、アナウンサー、書道家、演劇家の方々を紹介してほしいと、毎年管理職に伝えます。そして、管理職から地域の担当の方へ依頼がいきます。ここで大切なのは、地域の方に丸投げしないということです。講演会形式ではなく、基本的に教師主導で授業をします。書写の授業であれば、私が手本を書いていたところを、書道家の方にやってもらいます。また、机間指導者が二名になり、多くの生徒を個別に教えることができます。本来一人で指導していたところに厚みがでることで、教育の質が高まります。
(3)教師がつながる
 授業の計画を周囲の先生方へ伝えましょう。地域の方が授業に入るということを知ってもらうのもありますが、地域の方を知ってもらったり、実践例として他の先生方が授業を考えるきっかけにもなったりします。
 実際に地域の方に入っていただき授業をしてみると、助かるところばかりでした。また、生徒たちの力が伸びていくのも感じられます。ぜひ地域の方々との授業づくりを積極的にしていってください。

杉並区立杉並和泉学園
中学部 都木求枝
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