Vol.080特別支援教育の視点を授業に生かす!②
特別支援教育×プログラミング教育「特別支援学級でのプログラミング教育はスモールステップで」

 ここでは、知的障害のある児童が通う特別支援学級でのプログラミング教育の実践を紹介します。

 今回紹介する実践は、本学級の3年生から6年生を対象として、総合的な学習の時間の中で実施しました。知的な障害があるお子さんは物事を理解することに時間がかかります。そのために、指導段階を細分化したり、具体的に操作でき、視覚的に分かりやすい教材を使って指導したりする必要があります。このような手立ては通常の学級に在籍する発達障害のお子さんにも有効だと思います。

 そのことを踏まえ、今回の単元を以下のように設定しました。アンプラグドと呼ばれるパソコンを使わないで自分の手元で色々作業ができる学習形態から、プラグドと呼ばれるパソコンを使った学習形態に移行していきます。

  1. ①アンプラグドな学習として、担任をロボットに見立てて命令して動かす。
  2. ②操作し、「順次処理」「繰り返し」を学習する。
  3. ③プロロボ(山崎教育システム)を使って、実際にロボットを動かすプログラムを組んでみる。

 ①では、「佐々木ロボを動かそう!」と題して、目的地まで担任を導く命令を出させました。子どもたちは「まっすぐ進んで」と命令しますが、担任はどこまでも進んでしまいます。それを見て、子どもたちは意図したとおりに進ませるには「前に3歩進む」や「右に90度向く」など、どれだけ動かすのかを命令しなければならないことに気づきます。

 ②では、ビジュアルプログラミング言語で使われているブロックに模した命令付箋を使って、マスで区切られたワークシートのスタートからゴールまでロボットを導くという活動をしました。何時間かに分けて、「順次処理」「繰り返し」について取り組む中で、ゴールにロボットをたどり着かせるためにはいくつものやり方があり、正解は一つではないことに気づきました。今回は、書くことに困難がある児童が多くいるため、付箋のような形態をとりましたが、通常学級であれば、ワークシートに命令を書き込むということで対応できるかと思います。

 ③では、これまでに学習したことを生かして、ロボットをゴールに導くためのプログラムを組みました。普段は間違うことに抵抗がある子も、ロボットをゴールに導くために何度も前に進む秒数や速度を考え、プログラムをしていました。

 今回の実践は特別支援学級の児童に簡単なプログラミングを体験させることをねらいとして行いましたが、通常学級においては小学校1・2年生のうちは『ルビィのぼうけん』(翔泳社)や『アルゴリズムえほん』(フレーベル館)なども活用しながらアンプラグドな学習を各教科で行い、3年生以降で総合的な学習の時間における探究的な学習や各教科との関わりの中でパソコンを活用した教科指導を行っていくことになるのではないかと考えています。文部科学省が出している『小学校プログラミング教育の手引(第二版)』にはプログラミング教育のねらいやパソコンを活用した事例などが載っているので、参考にするとよいと思います。それらの実践でも使われているScratchというサービスはバージョンが3.0になり、対応するブラウザとしてInternet Explorer(IE)は対象から外されています。現在学校で配備されている教育用パソコンのブラウザはIEが多いのではないでしょうか。プログラミング教育を進めていくにあたり、今後このようなハード面での対応も望まれると考えています。

東京都江戸川区立中小岩小学校主幹教諭 佐々木俊一
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