Vol.171英語好きな児童を育てる授業をファシリテートする

2024.01

小学校においても外国語活動及び外国語科が必修となった現在、児童がもっと英語を好きになるために、英語の指導に関わる学級担任や専科教員、ALTはどのような取組をしていけばよいでしょうか。

自治体によっては低学年から外国語活動が行われています。低学年であれば、絵本の読み聞かせや歌・ゲーム等を通して英語に楽しく触れる活動が多いでしょう。なるべくオーセンティックな絵本や歌を選び、視覚的な工夫(プロジェクターで絵本のページを拡大したものや歌の情景をイラスト化したものを映し出す等)をして、簡単な身振りなども付けながら読んだり歌ったりすれば、日本語で訳さなくても児童は何となく意味も分かり、さらに楽しい活動になります。中学年からは言語活動を通して英語を学び始めます。アルファベットの学習では、自分たちの持ち物や着ているものからアルファベットを見つけたり、身体全体を使って文字の形を表す当てっこゲームをしたりするような遊びや、「尖った感じ」と「丸い感じ」でアルファベットを仲間分けするような活動を通して、児童がアルファベットの読み方や文字そのものに慣れ親しめるような工夫が必要です。また、身近で簡単な事柄について、自分の考えや気持ちを伝え合う活動では、児童の「伝えたい」気持ちが高まる場面設定や題材が重要になります。「クラスのみんなが食べたいサラダを考えて、学校栄養士さんにリクエストしてみよう。」と教師が提案すれば、児童は”I like ~.”と自分が好きな野菜を伝えたくなるとともに、友達は何の野菜が好きなのか尋ねてみたくなるはずです。高学年は「読むこと」「書くこと」も加わり、より多様な活動を通して英語が好きな児童を増やしていきたいものです。スモールトークでは児童とのやりとりも積極的に取り入れながら繰り返しターゲットセンテンスを聞かせ、意味や文脈のあるやりとりのモデルを示すとよいでしょう。言語活動の中で用いられる表現は、十分に音声で慣れ親しませることで身につけさせるとともに、ICTを活用して個人で、あるいはペアやグループワークで児童が自律的に課題を解決できるような個別最適な学びと協働的な学びを一体的に実現できるカリキュラムマネジメントを行うこともまた、英語が好きな児童を増やすために重要となるでしょう。具体的には、児童用デジタル教科書や録音・録画機能の活用などが考えられます。

児童が「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方」を働かせ、さまざまな言語活動を通して「英語を好き」になっていけるよう、教師は支援していくことが大切です。

さいたま市立大宮東小学校
西川 里沙
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