Vol.172生徒も教師も英語授業がもっと得意になるために

2024.01

 英語教師をしている方々は英語やそれ以外の言語を学ぶことに何らかの魅力を覚えていらっしゃることと思います。「英語が得意」と感じている生徒にもそうでない生徒にも、言語を学ぶことの楽しさを伝えることは私たち教師の役割の一つだと考えています。

 日本は生活の中で日常的に英語が使われる状況にはありません。そのため、生徒の毎日の生活の中にどのように英語との接点を増やすことが出来るのかが常に私の頭にあります。その具体的な方法を学校教育の様々な場面を通して紹介することで生徒が英語に興味を持ったり、得意になるきっかけになるかもしれないからです。

 インターネットのおかげで誰もが自分の興味や関心のある情報を容易に入手することが出来ます。映画やドラマ、歌は勿論の事として、例えば世界各地でのスポーツの試合中継、好きなアーティストが発信している情報、ゲームの実況中継など、生徒たちの興味に合致するものが多くあります。これらに英語でアクセスすることを授業の中に取り入れることで、英語の実際の使用に触れることが可能です。

 ここで挙げた例は全てオーセンティック教材になりうるものばかりです。オーセンティック教材とは、「外国語学習用として意図的に作られた教材ではなく、現実に存在する事物をテキストや音声教材としたもの」(白畑・冨田・村野井・若林, 2019)です。そのような教材を活用した授業を行うことに関しての調査や研究の結果によると、学習者の英語学習への動機づけや英語理解においての効果が示唆されています(Kitaoka,2021、Berardo,2006、藤田, 2015)。そして何より、授業で生徒も私たち教師もオーセンティックな英語に触れる楽しさを体感できれば、日々の授業にますます張り合いが出るのではないでしょうか。

愛知県立江南高等学校
大河内 聡子
【参考文献】
Kazuhiro Kitaoka (2021). An Empirical Study of Classroom Enjoyment and Negative
Emotions: A Model of the Use of Authentic Materials in the Japanese EFL context. Research in the Teaching of English
Sacha Anthony Berardo (2006). The Use of Authentic materials in the Teaching of Reading. The Reading Matrix 6, 2, 60-69
白畑知彦・冨田祐一・村野井仁・若林茂則(2019). 「英語教育用語辞典第3版」.大修館書店.
藤田亮子(2015).「映画を使用した英語学習」に対する学習者の態度の質的研究. 白鷗大学教育学部論集9, 2, 441−454
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