Vol.174図工科授業がもっと好きになるために〜水たまりの温泉に見る子どもたちの「遊び」〜

2024.02

 雨の翌日、校庭のそこここに水たまりができていた日のことです。私が中休みに校庭へ出ると、周りをぐるりと囲うように小石が並べられた水たまりをいくつか見つけました。「もしかして、水たまりを温泉に見立てたのかな。」なぜ私がそう想像したかというと、温泉に入って「ふう~」という人に見立てたかのような大きな石が一つ、小石に立てかけられて水に浸かっていたからです。想像の正誤は分かりませんが、この水たまりが、子どもが自ら勝手に好きなことをし、創造力を働かせた痕跡であることは確かであると、私はこのとき感じました。

 子どもたちは本来大人から何かを与えられなくとも、つくったり表したりすることが大好きであると私は考えています。水たまりからでさえ、勝手に何かをつくりだすのですから。私たち教師は、放っておいても勝手に遊んでしまうほど子どもたちが大好きなことにいかに寄り添い、その中で資質能力をどう育てていくかということに注力していく必要があるのではないでしょうか。

 私はそのような図工の授業実践を行うために、子どもたちが放っておいても勝手にやってしまう「遊び」の要素を授業に取り入れています。こんな姿を見たことはありませんか?用具として準備したガムテープを積み上げて遊んでいる子…パレットを洗うために行った水道でいつまでも色水遊びをしている子…。授業から逸れたことをしているために注意したくなってしまうかもしれませんが、こんな場面にこそ、子どもたちが大好きな「遊び」のヒントが隠れていると考えます。

 最後に、「遊び」から着想を得てつくった題材として、小学校3年生で行った、「せかいへんしんゴーグル」という授業をご紹介します。カラーセロハンなどの透過性のある材料を目の前にかざし、どんな世界に変身するかを想像しながら、つけると世界が変身するゴーグルを表わすという活動です。これは、図工室に材料として置いていたカラーセロハンを、子どもたちが勝手に目の前にあてて遊んでいたことから着想を得たものでした。私はこの題材で、見方や感じ方を広げ、自分なりの思いや想像をもって表現する力を育てたいと考えていました。授業では、子どもたちがカラーセロハンを目の前にかざし、「海の中にいるみたい」「夜になったよ!」「図工室が魔界になった」などと想像を広げながら、世界が変身するゴーグルを意欲的に表現する姿が見られました。「遊び」を起点としたことによって、教師が育てたい資質・能力を、「遊び」と一体化させながら培うことができたのではないかと考えています。

 水たまりからでさえ勝手になにかをつくりだしてしまう、子どもたちが大好きな「遊び」に目を向けてみてください。

稲城市立向陽台小学校
山口秋音
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