Vol.189学習評価は授業計画のどこに位置するのか?

2024.12

 「指導と評価の一体化」が言われて久しいが、指導と評価をどう捉えるのがいいのでしょうか。国立教育政策研究所の『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』には、学習評価の改善の基本的な方向性として、3点示されています。そのうち、特に、①児童生徒の学習改善につながるものにしていくこと、②教師の指導改善につながるものにしていくこと、を中心に私の保健体育の授業を振り返ってみることにします。

 バレーボールの単元において、10時間扱いとしたときに、第1~2時では何をするのが最適でしょうか。多くの方が基礎練習を思い浮かべたのではないでしょうか。私はガイダンスに加え、サービスやスパイクを扱い、技能テストの評価規準を示します。スパイクを例に挙げると、知識・技能的なフォームについて、思考・判断・表現的なタイミングや位置による角度の調整についてのどちらともを含めています。それぞれ数分の説明をした後、見様見真似で取り組む時間を取り、以降、毎回それらに取り組む時間をアップの後半に設定します。生徒たちは、すでに動作のイメージを得ているため、技術指導する際は集中して、自分の動作経験と照らし合わせながら聞きます。そのイメージは、ガイダンスで示した評価規準となる師範動作につながっています。これは、前述した①になっているでしょう。また、②につながる部分には、各授業の組み立てがあります。私が生徒を前に説明する時間を減らし、1つの授業で25分程度は、生徒の活動に対して、フィードバックや発問をする時間を確保するようにしています。私は、評価規準に近づけるため、どの程度習得できているのか、どんな発問が効果的かを考え、行動することができます。これは、学習評価をどうするか予め決めているからこそできる指導改善でしょう。さらに、パフォーマンステストは第5~6時に設定し、そのフィードバックは、全員にできていた点と課題のある点を伝えます。そうすることで、テスト以降の授業でも、生徒が意欲をもって取り組めるようにしているのです。これも①につながる仕掛けと言えます。

 ここで、タイトルを振り返ってみましょう。私の学習計画のどこに学習評価は位置づいているでしょうか。私は、学習計画の始点に位置づけています。学習評価というとPDCAサイクルのCというイメージがあるかもしれません。しかし、Pの段階で、生徒にどういう資質・能力を身に付けさせたいかを考えることこそがCの指標になると考えています。もし、評価を突き詰めて考えたときに行き詰ってしまうとしたら、Pに立ち返ることをお勧めします。更に、学習評価から授業を計画することで、生徒も教師もともに見通しをもち、学習評価起点に、学習改善・授業改善が図れると考えます。学習指導案の序盤に評価規準が位置づいているのも、そういうことなのではないかと私は捉えています。

日の出町立平井中学校
主幹教諭 笹井和也
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