「主体的・対話的で深い学び」が喧伝される昨今。体育において学びが深まっていくためには、その運動がもつ本質的なおもしろさに触れ、「さらによいもの」を目指そうとする子どもたち自身の動力が欠かせません。その意味では、「深い学び」は「深めがいのある中身」がなければ実現しにくいともいえるでしょう。
以前行った跳び箱の実践では「空中局面における身体表現の広がり」に跳び箱運動の本質的なおもしろみがあると考え、それをすべての子どもが味わえるように、教材を台上前転に絞り込みました。そして、単元を通して「台上前転をもっと大きくしていく」ことを探究の柱とし、その中で、首はね跳びに発展することまでをも想定しながら単元を構想しました。
「なんか浮いてる!」「これは大きいね!!」周囲の子どもたちは興奮気味。「ブリッジ跳び」と名付けられたその技にどうやったら近づけるのか。「やっぱりまずためないとダメだね」「おなかを上に突き出す感じなんじゃない?」「腰が反っているか、ちょっと見てくれない?」など、目指す運動イメージのポイントは何か、それができるようになるための課題は何か、どうすればそれが解決できるのかについて、自ら問いを生成し、他者と語り合い、学びの履歴を振り返りながら、探求する子どもたちの姿がそこにはありました。そして遂には、先生も教える存在から学び合う仲間へと変わっていました。