
10 月号①②で、デジタルコンテンツのあれこれを紹介しました。今回はデジ読評価プロジェクト研究実践協力校の、新聞記事データベースを活用した実践を紹介します。
雲南市立加茂中学校の難波先生は、朝日新聞の「けんさくくん」および、読売新聞の「スクールヨミダス」を使用して、「新聞記事から人権問題について考えてみよう」という道徳の授業を、中学校3年生を対象にして実施しました。
内容は、「世の中で起きている人権差別の種類や内容を教師の話や書籍で知り、自分達で新聞記事データベースを使い、実際にどのような問題や事件が起こっているのかを調べ、発表し合う」というものです。あた、ねらいは「学習活動を通して、人権問題についての理解と認識を深める」でした。
授業の展開は次のようにしました。
①新聞データベースで調べる
「職業差別」「人種・民族差別」「性差別」「障害者差別」「部落差別」「子どもに対する差別」など、自分が調べたい事象を選び、新聞記事データベースで、実際に起こっている 問題や事件を探す。
②記事を紹介・意見交換(グループ)
プリントアウトした記事に、読んでもらいたいところにアンダーラインをひき、色分けした付箋に記事の要旨と自分自身の感想を書く。記事をボードに貼り、班内で発表して、 感想・意見を述べ合う。
③記事を紹介・意見交換(全体)
班内の発表から、全体に紹介したい記事を選んで発表し、感想・意見を述べ合う。
④ 今回の発表の感想を書く
記事・感想を掲示し、発表で聞けなかった記事をシェアする。
その時のポイントは次の2点です。
①書籍と新聞記事を使うことで、何に対する差別であるのか、また、なぜそのようなことが起こるのか、その問題点を明確にし、差別を受けた人達の側に立って差別を許さない態度を育てていく。
②差別事象の記事を視点を明確にして自分で探し、友達に紹介することで、主体的に考え、また、友達の意見を聞くことで人権について考えを深めるということをねらいとする。
難波先生は「与えられた資料ではなく、自分が見つけた記事、資料を使って考え、人に伝えるという授業形態において、新聞データベースを使うことは能率的かつ有効な手段だった。社会に目を向けるという点で新聞データベースを使う意義を改めて感じた」と言っていました。
今回は中学校における人権学習の例ですが、このような授業の流れで、校種を問わず様々な教科学習・場面で応用できます。ぜひチャレンジしてください。
東京学芸大学デジ読評価プロジェクト特命教授
對崎奈美子
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