Vol.196自由進度学習や複線型授業はどういった場面で取り入れたらよいのか
―「改訂版タキソノミー」を用いて―

2025.08

 中央教育審議会(2021)は、「令和の日本型学校教育」の構築を目指して、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現を掲げています。その中で、子どもたちが「学習計画表」に基づき自分のペースで教科内容を学び進める「自由進度学習」や、同じ授業時間に複数の学習活動が行われる「複線型授業」などの学習形態に注目が集まっています。どのような場面でこうした授業形態を取り入れたらよいのでしょうか。

 ウィギンズらは「逆向き設計」論の中で、授業の形態のみに着目するのではなく、目標や評価との一体的な理解のもとにカリキュラム設計がされるべき(1)と主張しています。よって、授業形態をどうするかを検討する前に、単元の終わりにおける具体的な学習者の姿をイメージし、教育目標の解像度を上げていく必要があります。この際に有用なのが、ブルームやアンダーソンらによって提唱される目標分類学(タキソノミー)(2)に対する理解です。

 このタキソノミーを発展させた「改訂版タキソノミー」では、機械的に考えると、知識次元の4つのカテゴリーと認知過程次元の6つのカテゴリーとを組み合わせることで、合計24の教育目標の類型を示すことが可能です。しかし実際には、特定の知識のタイプは特定の認知過程と結びつきやすい性質を持っており、①「事実的知識の記憶」②「概念的知識の理解」③「手続き的知識の適用」④さまざまなタイプの知識の複合体に支えられた「高次の認知過程」(higher order cognitive processes:認知過程次元の「分析」「評価」「想像」にあたる)、というおおよそ4つの目標の類型が考えられます。(3)




表「改訂版タキソノミー」による教育目標の分類

 改訂版タキソノミーの考え方を踏まえると、学習指導要領の記述の動詞を変更した「〇〇を理解する」といった教育目標ではなく、より具体的な学習者の姿がイメージできるようになります(「〇〇の場面で、〇〇を使って、〇〇できる」など)。

そうすると、  ・①を教育目標とする場合は、単元テストや定期テストで選択問題や空欄補充問題など  ・②や③を目標とする場合は、単元テスト等で簡単な論述問題や文章題など  ・④を教育目標に設定する場合は、パフォーマンス課題とルーブリックや、レポート、作品制作・発表などのポートフォリオ評価など

 と、評価方法も連動して想起されます。まずは具体的な学習者の姿をイメージし、教育目標をどのように設定するかを考え、その教育目標や評価方法に応じた学習形態(自由進度学習等を含む)を採用していくことが大切です。

足立区立第九中学校
新田 敦彦
【参考文献】
(1)G.ウィギンズ,J.マクタイ(2012)『理解をもたらすカリキュラム設計―「逆向き設計」の理論と方法』日本標準
(2)石井英真(2021)『(再増補版)現代アメリカにおける学力形成論の展開―スタンダードに基づくカリキュラムの設計』東信堂P95-104
(3)(2)と同じ
表:(2)と同じ
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