Vol.138この授業のテーマは何ですか?
KP法で授業のテーマを明確に!

 今から20年ほど前、私がまだ初任者だったころ、日本史で研究授業を行ったときのことです。自分なりに一生懸命勉強し、あれも教えよう、これも教えようと意気込んで臨んだのですが……先輩教師の評価は、いたって芳しくないものでした。「この授業のテーマは何?」「色々なことを教えすぎ」「何をこの授業で伝えたいのかがわからない」とさんざんでした。
 当時の私は、これらの助言に対し納得のいかない思いを抱きました。「地歴科のことをよく知らない他教科の人が、何を偉そうに……」日本史の教科書に載っている用語を、すべて授業で扱わねばならないという「使命」に、私は燃えていました。
 あれから約20年。昔を振り返ってみると、授業を行う技術はもちろん、助言を受け入れる態度も、なんとも未熟であったと反省しています。生徒からすれば、次から次へとわけのわからない用語が飛んでくる授業は、きっとつまらないものであったに違いありません。ただ知識を伝授するだけでない授業を目指し、悪戦苦闘を重ねてきました。
 そんな私が最近、「紙芝居プレゼンテーション法」略してKP法という手法に出会いました。その名の通り、要点が書かれた紙を次から次へとめくっていき、授業を展開するというものです。この手法のよいところは、ICTの設備など一切必要ないこと。めくった紙を黒板にマグネットで張り付けておけば、それまでの授業の流れは一目瞭然です。そして何より、紙に書くべきことを考えるという作業が、「授業で伝えたいこと」=「テーマ」を絞るという作業に直結します。あれもこれも教えようという欲求を抑えなければなりません。私のような「教科書の内容をすべて教えよう!」という「使命」に燃えた人間にとっては、とても有難い手法なのです!
 私が実際に行った授業について、簡単に紹介します。地理の授業で、まず「なぜアフリカに古着を贈ってはいけないのか?」とテーマを提示します。生徒たちに尋ねてみますが難しそうです。そこで次の紙芝居で「日本で売られている衣料品は、どこで作られているか考えてみよう!」と提示します。日本で売られている衣料品は発展途上国で作られているということに気づけば、しめたものです。併せて、日本も戦前は輸出の半数以上を繊維・繊維製品が占めていたこと、工業は軽工業から重化学工業・先端技術産業へと発展していくことを紹介していきます。ここまで理解できれば、アフリカに古着を贈ることが、現地の工業の発展の妨げとなることに気づくはずです。

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静岡県立小山高等学校
遠藤圭一
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