Vol.109絵本を用いた高校生への生活指導①
SNSでのコミュニケーション

 「高等学校における生徒指導」と聞いて、どんな場面を思い浮かべますか。何らかの問題行動に対する説諭や反省の作文でしょうか。毎年同じ頃に、同じような話を繰り返す講話でしょうか。どちらも高校生が社会で自立して生活するためには必要な指導です。生徒の「それくらいのことはわかっていますよ」という思いと、教員の「わかっているなら行動しなさい」という思いのせめぎ合いが多いのではないでしょうか。そのご苦労よくわかります。

 私はこれまで小学校と中学校でも教員をしてきました。話の聞き方は発達段階に応じてさまざまです。これまでの教員経験を活かし、まずは高校生に「またその話ですか」と思わせない導入を試みています。

 生徒指導部長として全校生徒の前での初めての講話。自己紹介の中で特技として「絵本の読み聞かせ」を挙げました。そして一冊の絵本を紹介しました。「んんんんん」(五味太郎作 偕成社)です。この本には「ん」という言葉しか登場しません。しかし、さまざまな状況や感情が絵とともに表現されています。これは言葉の持つ豊かさではありますが、短い言葉であるため受け手の瞬時の判断では、意味を取り違える怖さもあります。そこはこの作品を知らない高校生にもなんとなく想像のつくところです。そこから、高校生の日常生活に欠かせないSNSでのやり取りに話を展開します。

 「メッセージを読む相手に真意が正しく伝わるような言葉の選び方はできているでしょうか。面と向かって言えない言葉は使わないというルールは守られているでしょうか。」
 ここで高校生たちは、絵本のほんわかとした世界から現実の世界に引き戻されます。

 最後に、便利なツールだからこそ気をつけて使用して、自分も周りも気持ちよく生活をしてほしいということを生徒たちに伝えました。もちろん、生徒指導部の教員たちは、みなさんが充実した高校生活を送れるように見守っていきますよ、というメッセージも忘れずに伝えています。

東京学芸大学附属高等学校
居城 勝彦
pdfをダウンロードできます!