Vol.036自分の心を見つめ、素直に思いを言葉にできる道徳授業をめざして②
じっくり考える~6年生 7月「うばわれた自由」の授業実践~

2017.08

 道徳は、“じっくり”考える時間です。その時間に扱う道徳的価値について、「自分はどうか」「自分はどう思うのか」と自問したり言葉にしたりすることを通して、子どもたちは自分の心を見つめることができます。

 今回は、“じっくり考える”をテーマに、6年生の実践(主題名「自由だからこそ、大切にしなければならないこと」、A[善悪の判断、自律、自由と責任]、教材名「うばわれた自由」、7月実施)を2つのポイントに分けて紹介します。

 まずは、「ねらいと子どもの実態に合った教材を選ぶ」ということです。教材は、「この問題について考えたい」という子どもの意欲を喚起するものでなくてはいけません。「うばわれた自由」は、「自由と自分勝手の違い」や「自由に伴う責任」について考えることができる、子どもにも分かりやすい教材です。子どもたちは自分と自由について、様々な視点から考えを巡らせていました。

写真 実際の板書

 次に、「『発表のし合い』から『話合い』へ」展開することです。子どもが“じっくり”考える授業をめざすには、話合いの充実が一つのカギとなります。チャンスは、子どもの発言の内容に少しでも違いやずれがあったときです。「○○さんは~と言っているけれど、みなさんはどう思いますか。」「◇、△という思いが出てきたけれど、どちらの思いが大きいと思いますか。」など、一人の発言をきっかけにして学級の全員が考える機会を作ることができます。友達の考えに触れ、もう一度自分の考えを見つめ直すことで、子どもたちは自由について考えを深めることができるのです。

<子どもたちの道徳ノートから>
・自由は楽しいし、楽だし、気分もいい。でも他の人の迷惑になることはやりたくはない。
・自由はいいけれど、自分を正すことができるようにしたい。
・家でいつも自分勝手になってしまうから、気を付けたい。周りの人のことも考えながら自分なりの自由をつくりたい。
・自分の自由と人の自由は違うと思う。人は一人一人自分の理想の自由があるのではないか。
・みんなの話を聞いていて、自由なんてほんの少ししかないのではないか思った。
・自由はなかなかできないからこそ、あこがれるものなのではないか。

 道徳の授業で“じっくり”考えるのは、子どもたちだけではありません。授業者も一人の人間として、「子どもたちと一緒に考える」という姿勢で授業を行うことが大切です。

昭島市立武蔵野小学校主幹教諭
田中芳子
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