『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~』(中教審答申、2021)では、児童・生徒の「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現が求められています。そのための環境整備として、令和3年度の4月からは、多くの学校で1人1台端末が配備され、授業等での積極的な活用が期待されています。
しかし、「令和2年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」(文部科学省、2021)では、「授業にICTを活用して指導する能力」「児童生徒のICT活用を指導する能力」に課題があることが明らかとなっています。そのため、各学校においてはICT推進担当を中心に、教員のICT活用力の向上を図っていくことが喫緊の課題になっています。そのICT推進担当がどのような工夫をしながら取り組んでいるのかについていくつか例を紹介します。
①参加フリーの「学びカフェ」の企画
ICT推進担当が伝えたい内容や授業実践はたくさんあります。しかし、校内研修の機会は限られています。そこで、職員会議後などの時間を利用し、参加フリーの勉強会を企画している学校があります。アプリやソフトの使い方について自由に質問したり、お互いの実践について情報交換したりする場を設定することで、参加者一人ひとりの活用の幅が広がります。「研修」ではなく、「カフェ」という名前にすることで、気軽に楽しく参加できるのがよいところです。
②実践意欲をたかめるための働きかけ
ICT推進担当が、日頃から各学年の実践の様子を記録し、LINE WORKSやGoogle classroomなどを活用して情報共有している学校があります。また、共有する取り組んだことについては必ず褒め合うという習慣をつくります。誰でも自分の努力が認められるのは嬉しいものです。お互いに頑張りを認め合うことが、それぞれの実践の価値づけになるとともに、次の実践へと向かう原動力になるのです。
③SD(Self Development:自己啓発) をOJTに生かす
コロナ禍で多くの研修がオンラインになったことをきっかけに、今ではZoom等を利用したオンライン研修がたくさん企画されています。そうした情報をICT推進担当が積極的に校内に流し、参加を促している学校があります。場所を選ばないのがオンラインのよいところで、放課後の時間に教室から気軽に参加できます。そうして得た個々の学びを共有していくことで、教職員全体のICT活用力はさらに高まります。
以上、3点紹介しましたが、どれもICTに対する教職員の不安感や負担感をやりがいや期待感に変える取組です。ICT推進担当に最も求められることは、専門的な研修を行うことではなく、教職員の意識を変え、学校組織全体を活性化させることであると私は考えています。
中野区立白桜小学校
山本遥介
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