12月もあますところ数日となりました。31日の大みそかから一夜明けると元旦、新しい年の始まりです。日本では古来より各地でさまざな正月行事が行われてきました。
『こどもの行事 しぜんと生活 1月のまき』(かこさとし/文・絵、小峰書店)には、しめかざりや門松のいわれ、なぜ「おせち料理」というのかなど、豊富な絵とともにわかりやすく書かれています。雑煮に入れる具材や餅の形など地域によっての違いには興味をそそられます。富山・京都・大阪・愛媛・福岡は丸餅、岩手・長野・東京は角餅とのこと。伝統文化の流れが見えてきます。ただ、「このごろは同じ地域でも家ごとに違った作り方をするようです」とのただし書きがあります。
世界に目を移してみましょう。『まるいちきゅうのまるいちにち』(安野光雅/編、童話屋)は、ある年のロンドンのグリニッジ標準時0時にあわせて、絵本が始まります。イギリスが1月1日0時の時にアメリカのシカゴやブラジルはまだ31日の夜、子どもたちは夢の中です。日本は1月1日12時で、お隣の中国は11時。晴れ着で遊ぶ子どもたちが描かれています。地球儀をそばにおいて、それぞれの国の位置を確かめながらページをめくると、より楽しめることでしょう。
この時期になると特に話題にのぼる干支ですが、日本人の生活に深く関わってきました。干支にちなむ本を紹介します。
『十二支のおもちつき』(すとうあさえ/作、早川純子/絵、童心社)は、年の瀬にやってきたねずみに、わずかしかないもちごめを食べさせてあげたおじいさん、おばあさんの話です。次の日にねずみが連れてきた牛、虎、鶏など十二支たちがもちつきをするともちがどんどん増えて…。めでたしめでたしの展開です。私は、かさこじぞうの話を思い出しました。
『にわとり城』(松野正子/作、大社玲子/絵、こぐま社)は、来年の干支であるにわとりと心優しい息子の冒険の話です。夜の魔物とのなぞなぞ対決にはどきどきさせられます。
『鳥のいる地球はすばらしい-人と生き物の自然を守る』(国松俊英/著、関口シュン/絵、文渓堂)は、長年、野鳥の観察を続けてきた著者が、地球の自然環境の変化に気づき考えさせられたと語る、高学年向きのノンフィクションです。酉年にちなんで、鳥をめぐる環境について子どもたちに考えさせるのもよいのではないでしょうか。