Vol.1815月の学級経営

2024.05

 新しい学年がスタートして1か月。子どもたちは学級にも慣れてきたころだと思います。クラス替えがあった場合には、新しい人間関係も構築され始めているのではないでしょうか。初めはぎこちないやり取りも多かった友達との関係も、だんだんと落ち着いてきます。その一方で、例えば友達づくりがうまく進んでいない子がいたり、前の学年よりも難しくなった学習内容に不安を覚えたりする子がいたりと、悩みを抱えた子が増えてくる時期でもあります。安定した学級づくりのためにも、これらの子どもたちの悩みをなるべく取り除いてあげることは大切です。5月に限らないことですが、私のクラスでは「先生あのねカード」というものを全員に配布し、記入させることで教育相談に生かしてきました。

 「先生あのねカード」は、その子が困っていることを書いて担任に伝えるカードですが、ちょっとした工夫が2つあります。ひとつ目は「困り度」を表す欄があることです。その悩みが本人にとってどれほど深刻なものかを表すバロメーターです。悩みの評価は本人にしかできません。大人から見れば取るに足らないような小さな悩みに見えても、その子にとっては人生を揺るがすほどの問題だと捉えている場合も少なくありません。もうひとつの工夫は、「解決の方法」を選択して書く欄があることです。「先生、なんとかして!」に〇をつけた子は教師に明確にSOSを求めているのですから、早急に対処する必要があります。それに対して、「自分で何とかする」や「ほかの人に相談してみる」を選ぶ子もいて良いと思います。教師がその子の悩みをすべて解決するべきだ、あるいは解決することができると考えるのは適切ではないと私は思います。教師に対して助けを求めていない子に対しても、少し時間をおいてから、「そう言えば、この前困ってるって書いてあった〇〇の問題、解決した?」という感じでたずねてみるのも良いと思います。自分で解決することを選んだ子にとっても、「先生が自分のことも気にしてくれているんだ!」と感じることで安心できるのではないでしょうか。

 この時期に先生と子どもの信頼関係を築いていくことは、これから先の学級経営をしていく上でも重要です。「先生は自分たちの味方だ!」と子どもたちが感じてくれれば、学級としていろいろなことにチャレンジできます。5月は、一人ひとりの子どもたちと向き合うことで素敵な学級を作る土台を固める時期と言えるでしょう。

杉並区立天沼小学校
新宅 直人
pdfをダウンロードできます!