Vol.129国語が苦手な子どもへの支援方法
~分かった!できた!を実感させるきっかけづくり~

2021.7

 人間誰しも経験があるように、自分が好きだと思ったものについては、自分で調べたり、学習したりして力をつけていくことができます。国語が苦手な生徒が、どのようにすれば前向きに国語に取り組んでくれるようになるのか・・・まずは「国語が好き」と思ってもらうことが必要だと考えます。そのためには、まず何事も「分かった!できた!」を体験することです。この積み重ねによって、生徒は、前向きな気持ちに変化し、自ら学習を行えるようになると私は考えています。今回は、国語が苦手な生徒が「分かった!できた!」を実感するために行った実践例を2つご紹介します。

1.ペアで漢字チェックミニテスト
 国語の授業の最初3分間を使って、毎回問題集の決められたページ(見開き1ページ)から漢字のチェックミニテストをペアで行います。出題数は3問で、1分間ずつ区切り、お互いに問題を出し合って、最後の1分間で自己採点をして終わりです。このサイクルを約2週間行ったところで、その決められた問題集のページから、教師が20問(読み10,書き10)の漢字テストを行なって採点し、実際の評価に入れます。
 この活動のねらいはいくつかあります。1つ目は、授業50分間の導入として、動きや会話を取り入れることで、集中力が途切れやすい生徒の負担感を軽減すること、2つ目は、アウトプットを友達と行うことで、記憶の定着を促すことです。実際、ペアでミニテストを行っている時は「あ~惜しいな~ほら人の身体に関する漢字だからさ…部首が…」などお互いにヒントを出しながら、問題を出し合う場面がよく見られます。
 その結果、漢字テストでも自分の満足のいく点数が獲れ「漢字だけは俺、得意になった」と笑顔の生徒が増えました。

2.板書と対応したプリントづくり
 私は基本的に、国語の授業では板書と対応したプリントを生徒に配布します。プリントは、その時間で重要な箇所が括弧の穴埋めになっていたり、自分の考えを書くスペースを設けたりしているのみで、それ以外はこちらであらかじめ書き込みしてあるものを使用します。このねらいは、文字を書くことに課題がある生徒の負担を軽減し、授業中の教師の話や友達の意見を聞いたり、自分で考えたりする時間を確保するためです。文字を写したり、文字で表現したりすることが苦手でも、自分なりの意見を持ち、話すのが得意な生徒もいます。それぞれの学校や学級の実態に即した方法で今後も授業の展開を考えていくことによって 、教師も生徒にとっても楽しく授業を行うことができ、力を身につけていくことができるのだと思います。

熊本市立鹿南中学校
下村雪菜
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