中学3年生を対象とした保健の授業は、次のようなカリキュラムを立てました。
DはAの次に組み込まれることが、教科書をはじめ一般的に多く見られますが、感染症、生活習慣病といった日常生活に関連する疾病を意識させながら、「食、運動、休養・睡眠と健康」を見つめ直させたいと考え、このような順で進めました。
ちょうどCが終わった時点で夏休みを迎えることになり、次のような宿題を出しました。生活リズムが乱れがちな夏休みを健康に過ごすために、自分がこだわることを2~3つあげ実践するという内容です。受験生である3年生の忙しさを考慮し、チェックは約一週間単位、1枚のカードに記述させました。そしてそのカードを9月の最初の保健の授業に持ち寄り、4人グループで、その成果を発表し合うとともに、「実践できたこととできなかったこと。その理由」を検討させました。
生徒が実践した、自分がこだわることは、運動からリラックス方法、睡眠等多岐にわたるものでしたが、「食事をとらない」ということは日常的にあり得ないうえに、「美味しいものを口にする」というご褒美感覚の楽しさが加わり、取り組みやすいものとして実践されていました。具体的には「トマトを毎日食べる」、「毎晩フルーツを食べる(合宿で食べられないときは野菜とする)」、「嫌いなピーマンを克服する」といった内容があげられていました。
表1は、生徒Yのカードです。この生徒は、自分がこだわることのひとつに「毎日、発酵食品を摂取する」をあげていました。これは、「感染症とその予防」の単元で得た「ヨーグルト会社によって使っている菌が異なる」、「どの菌が効果的かは人によって異なる」といった知識から、8種類ものヨーグルトを試すことを含んでいます。さらには、味の違いの裏には何があるのかということに興味を持ち始めています。
保健では、習得した知識が実生活で活用されることを願っています。生徒Yの取り組みでは、食に関する知識と健康を結びつけながら、健康な生活を目指してくれる生徒の姿を確認でき、保健のねらいを果たせた実感がありました。
次回は、「食」と「健康な生活」の関連に焦点をあて、考える授業を紹介します。