今年度は例年と違い、休校、分散登校からスタートし、授業や行事の在り方に大きな変化がありました。その影響もあり、学校は今まで以上に様々な対応に追われる年となっていると思います。私が今年、心理職として現場で感じたことの一つとして、小学校低学年の「なんとなく学校へ行きたくない子」の増加と、その気持ちの表れとしての「登校渋り」の増加があります。そこで今回は「なんとなく学校へ行きたくない子~低学年~」の支援について考えてみたいと思います。
「なんとなく学校へいきたくない子」の気持ちが行動に現れた状態が「登校渋り」と言えます。例えば、早退、遅刻が続く、学校まで来たが教室へ入れず、保健室や別室で過ごす、体調不良などを訴え、登校を拒む等は、「登校渋り」に当てはまるのではないかと思います。時期としては、新年度が始まりクラスが落ち着いてきた頃や、連休、長い休み明け、クラス替えや担任が変わった時などが多いように思います。
低学年で「なんとなく学校へ行きたくない」気持ちになる背景要因としては①環境の変化②教師との関係③発達特性や気質④母子・家族関係⑤学習の問題⑥友達関係⑦今年度は新型コロナウィルスの影響などが挙げられると考えられます。では、どのような支援を行っていくとよいのでしょうか。
支援の第一段階で必要なことは「早期発見」です。気がかりな児童の様子をよく観察し、早い段階で保護者と学校と家庭の様子を共有します。それにより、実態把握と背景要因の推測、対応策の検討を行うことができます。支援の第二段階は「早期対応」です。対応として、特に「環境整備」は重要です。子どもは安心できる環境がない時「なんとなく学校へ行きたくない」気持ちになり、「登校渋り」等の不適応を起こしやすくなります。背景要因が学校にある場合、まずは子どもが安心して学校生活を送れる環境を整備する視点は重要です。最近は、HSCなど繊細な気質の子や発達特性のある子も多く、個と集団が多様化しています。「人」も環境と考えると、教師の関わり方や指導の工夫、子どもへの新しい視点が、「環境整備」につながることが多くあります。その他の「環境整備」としては、教室以外に校内で安心できる居場所(保健室等)の確保や、対象児と保護者をスクールカウンセラー、教育相談、必要によって巡回指導に繋げること等が挙げられます。
連携と情報共有を通じて支援を行う中で、担任、保護者含む支援者側が、それぞれの立場を認識し、その役割を全うできた時、「なんとなく学校へ行きたくない」子どもの気持ちに変化が現れ、支援の成果が見えてくるのではないでしょうか。