Vol.050HEAR & NOW を大切にした学級活動②
体験を通した内面の共有化

2018.03

 「今度クラスでソフトバレーボール大会を開きたいのですが」と児童が相談にやってきました。もちろん私の答えは“Yes”です。ただ、私が児童の提案に対して“Yes”と判断するのではなく、吟味する2つのポイントがあります。

 1つ目は、どれだけの“やる気”と“見通し”があるかです。2つ目は、やった結果、次につながる“なにか”が生まれるかどうかです。“やりたい”という意欲ほど、体験に大切なものはありません。それに“見通し”があることで、意欲と活動とゴールイメージをつなげることができます。実際、活動の過程でうまくいかないことがあっても、“見通し”があれば、乗り越えられるかもしれません。たとえ乗り越えられなくても、その反省を次に生かしていこうとする生産的な考えをもつことができます。つまり、“やる気”と“見通し”がしっかりあれば、次に生かせる“なにか”は生まれてくるとも言えます。

 今回、学級会を通じて、提案者の“やる気”と“見通し”を受け止めた他の児童たちは、ソフトバレーボール大会を開くことに賛同し、クラスで “ソフトバレーボール実行委員会”がつくられました。当日実行委員が進行を務め、クラス全員でコートの準備や後片付けを行いました。私は、クラス全体で合意した活動では、児童一人一人に役割と責任をもたせることを大切にしているため、その様子を見守るようにしています。

 大会終了後、活動を振り返りました。私は、限られた時間でなるべく多くの児童の意見を引き出すために“ホワイトボード・ミーティング”を活用することにしています。これは、クラスの生活班による話し合い活動で、各班で出し合った意見をホワイトボードに書かせ、その後、各班の代表者がクラス全体に紹介します。児童から「実行委員の○○君は、人一倍自分の仕事を頑張っていたよ」、「次は、さらにわかりやすいルールをつくって、他のクラスも誘ってやってみたいな」など、具体的な仲間の様子や次の活動提案が出されました。このような“振り返り”を通して、児童の内面の共有化を図っていくことでクラス全体の向上心を高めたり、人間関係を深めたりすることができると考えおり、“振り返り”の時間を大切にしています。

東京都杉並区立浜田山小学校主任教諭
幸阪創平
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