リーダーシップとは
ハーバード・ビジネス・スクールの ジョン・P・コッター(2012)は、マネジメントという概念と対比させることでリーダーシップを定義し、「マネジメントは複雑さに対処し、リーダーシップは変化に対処する(p.45)と述べました。また、 「リーダーシップは、組織メンバーの心を一つにすることである」(p. 47)とも言っています。変革型、支援型、分散型などさまざまな形のリーダーシップ理論がありますが、読者の皆さんにとって、学校現場における スクールリーダーはどのような人でしょうか。
教職大学院で出会ったスクールリーダー=K先生
東京学芸大学教職大学院で学ぶ私は、ある大学院生との出会いによって支援型スクールリーダーを具体的にイメージできるようになりました。東京都のB小学校に養護教諭として勤務するK先生は常に明るく、声が大きく、その周囲には笑いが溢れていました。同時に、周りへの配慮、気遣いのアンテナがいくつも張り巡らされています。視野がとても広く、常に周囲を観察しているのが分かります。出会った当初は、養護教諭の職務上、そのように配慮できるようになったのかと思っていましたが、徐々にK先生が本来持っている人柄、人間性、優しさに端を発すると感じるようになりました。K先生がいるだけで、自然とチームに積極性がもたらされます。リーダーというと、どうしてもグイグイと引っ張る人をイメージしてしまいますが、優しさや気遣いから始まる組織のまとめ方もあるようです。リーダーに求められる資質の一つは「気遣い、配慮、アンテナを張る姿勢、観察力、リサーチ力」だと、K先生から学びました。
スクールリーダーの条件
確かに、意思決定をしなければいけないリーダーには決断力が求められます。しかし、それだけで十分でしょうか。児童生徒、教職員、保護者だけでなく、卒業生や地域の方々など様々な人たちとも関わることがスクールリーダーには求められています。アンテナを張り巡らし、情報をキャッチし、 よく周りを観察した上で変化に応じた配慮・気遣いができることは、スクールリーダーの第1条件なのかもしれません。それだけに止まらず、スクールリーダーに求められることは多岐にわたります。組織をコントロールするための理論を学んだ上で、学校の目指すヴィジョンを掲げ、PDCAを回していく必要があります。
新たな学びや出会いが大切
優秀なスクールリーダーになることは簡単ではありません。また、その定義は教員ごとに異なるかもしれません。しかし、教職大学院での学び、そしてK先生との出会いが、私が目指すべきスクールリーダーの在り方を明確にしてくれました。目標が明確になった結果、私の教育活動が変化しつつあるのを感じます。教員としての日々の業務に忙殺されることなく、新たな学びや出会いを大切にしたいものです。