Vol.178学校と自分を繋げるツールとしての自己評価

2024.03

 埼玉県立高校では、毎年4月下旬頃から自己評価シートの作成が始まります。自分が今年度、どんな目標を立てて、その目標を達成するためになにをするのか決意表明するものです。多少の違いはあっても、そういった書式自体はどの自治体にもあるのではないでしょうか。今では、またこの季節が来たな、と思う程度ですが、採用1年目から数年間は、作成の手引きのようなものを見ても何を書けばいいのかよくわからず、書いてはみるものの、書いたことがあっているのか確信が持てませんでした。これからお伝えすることは、とても当たり前で、自治体によってはこんな悩みを持つ人はいないのかもしれません。ですが、もしかしたら同じような悩みを持っている先生がいるかもしれないと思い、書いてみることにしました。

 話は単純です。自己評価シートに目標を書く前に、学校自己評価システムシートや学校経営計画を熟読してください。そこには、学校(≒校長)が今年度立てている目標、そして、どのようにしてその目標を達成するかの方策が書いてあります。その中で、自分自身が貢献できる点を探します。そして、その点について貢献するための目標と具体的な方策を自己評価シートに記載します。たったそれだけのことです。学校の立てた目標は、管理職だけで達成できるものではなく、その学校に所属する教職員全員で達成する目標です。だからこそ、先生方個人の自己評価シートに学校の目標達成の視点が含まれないことはあり得ないとも言えます。

 このように自己評価シートに向き合うことには、別のメリットもあると考えています。例えば、学校に貢献しているという実感をもちにくい経験年数の少ない先生方にとって、学校の目標達成のために自分にもできることがあると気づく機会になるかもしれません。例えば、異動先の学校で自分がすべきことをいち早く掴むきっかけになるかもしれません。学校を分析する視点を身に付け、組織の一員として貢献できるという実感を持つことができれば、職務に対する意欲向上に繋がるかもしれません。

 自己評価シート作成のために、学校自己評価システムシートや学校経営計画を熟読する中で、目指す学校像や育成したい生徒像と、設定されている目標や評価方法のずれに気づけるようになれば、より良い目標や評価方法を提案できるようになるかもいれません。それは、学校を変える力になるかもしれません。

 自己評価シートは形骸化しているという声を聞くこともあります。ですが、先生と学校、先生方同士、先生と生徒を繋ぎ得るツールであるならば、有効活用の鍵は教員ひとりひとりにもあるのかもしれません。

埼玉県立伊奈学園総合高等学校
岡野 ちひろ
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