Vol.072音楽科におけるアクティブ・ラーニング①
鑑賞学習を「受動」から「能動」へ

 ここでは、鑑賞の学習におけるアクティブ・ラーニングの例を紹介します。

 ルロイ・アンダーソン作曲「タイプライター」という曲を鑑賞する授業です。対象学年は何年生でもよいと思います。ちなみに私は全校児童が集まる全校朝会で20分間の授業をしました。この曲は1950年に作曲され、当時広く使われていたタイプライターの機械音をそのまま音楽に取り入れた大変面白い曲です。タイプライターは、今は使われていませんから、授業では「昔、こういう機械があってね、こういう音が鳴ってね……」という説明の後、実際に音楽を聴かせることになります。しかし私は、少しでもアクティブになるようにと、タイプライターの説明にまずは一工夫……。昔使われていたタイプライターの実物を用意しました。その上で、普段学校から出されるお便りはどのように作られているかを子どもに問います。子どもたちはすかさず「コンピューター!」と返してきます。では、コンピューターがなかった時代はどうやって、このようなお便りを? と問い返します。すると「手で書いていた?」などの反応がありました。子どもらしい純粋な考えですね。そこで「実は機械があるんだよ。タイプライターって言います」と伝えて、本物を見せます。しかも、実際に紙を機械に入れ、文字を打ち込みます。すると、改行を促す「チン!」という音も聞こえます。これで、①打ち込む音、②「チン!」の音、③行頭に紙を戻す「ギー!」という音の面白さを体感することができ、タイプライターの音へのただならぬ関心を高めることに成功しました。

 その上で、「実はこのタイプライターの音を面白がって、音楽に取り入れた作曲家がいます」と伝え、アンダーソンを紹介し、実際に音楽を聴かせました。2分弱の曲ですから一気に聴けます。実際の授業では、音楽に合わせて私がタイプライターを打って見せました。音楽にぴったり合うようにです。すると、子どもたちからは歓声が上がりました。「すごい!」「本当に先生が打っている音なの?」などさまざまな反応です。何度も音楽を聴かせ、親しませたいと思います。さらにアクティブにするために、今度は子どもたち一人一人が自分の目の前に「透明なタイプライター」があると思って、文字を打ち込む真似をします。さらに改行を促すベル「チン!」の音が鳴ったら、その瞬間だけパッと立つことにします(起立)。

 実際にやってみたら、これは大騒ぎ! 大変面白い、楽しい授業になりました。実物を見せることや、体の動きを取り入れることで能動的に音楽に関わることができたと思います。

 さらに、教科書でも扱われている「おどるこねこ」「シンコペーテッド・クロック」「トランペット吹きの休日」などもアンダーソンの作曲であることとつなげると、さらにアクティブな学習へと発展することでしょう。

筑波大学附属小学校教諭 髙倉弘光
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