寒中となり、ニュースなどで雪の話題が取り上げられることが多くなりました。例年にない積雪のこと、スキーを楽しむ海外からの観光客のこと、「かまくら」作りが始まったことなど様々な内容です。日本の地形の特質から、北と南、太平洋側と日本海側といった地域による違いはありますが、雪の存在は生活の隅々にまで影響してきました。
雪が降ると大喜びするのは子どもたちです。
『ゆき』(ユリ・シュルビッツ/作・絵、さくまゆみこ/訳、あすなろ書房)には、大人の反応とは対照的に、雪が降り始めた街の中を走り回る男の子が描かれています。『こうさぎと4本のマフラー』(わたりむつこ/作、でくねいく/絵、のら書店)は、4匹のこうさぎ兄弟のお話です。おばあちゃんから贈られたマフラーを巻いて雪の中に飛び出していくのですが、大木の「ぶなじい」が凍えていないかと心配になって…。こうさぎ兄弟の優しさが奇跡を起こします。
雪女にまつわる怖い話も日本各地に伝わっています。
『あたし ゆきおんな』(富安陽子/文、飯野和好/絵、童心社)では、風と雪が踊るうちに、ふわりとたなびく白い影の中から生まれる雪女の物語がおばあさんの語りで描かれています。春の訪れとともに消えゆく雪女のはかなさが胸に沁みます。
雪を科学的に捉えた本も多数あります。
『雪の一生』(片平 孝/著、あかね書房)は、秋から冬への気温の変化から始まり、気圧配置からくる冬の厳しい季節風が日本海側に大量に雪を降らせること、斜面に積もった雪がなだれを起こす理由などを写真と絵で解説しています。『雪の結晶ノート』(マーク・カッシーノ、ジョン・ネルソン/作、千葉茂樹/訳、あすなろ書房)は、雪の結晶を15年以上にわたって観察・撮影して生まれた写真絵本です。雪の結晶の観察方法も記されています。『南極大陸のふしぎ 雪と氷が広がる地球の果ての大自然』(武田康男/著、誠文堂新光社)は、著者が南極地域観測隊(越冬隊)隊員として1年間を過ごしたときに撮影した写真や記録を中心にまとめたものです。オーロラやダイヤモンドダスト、恐ろしいブリザードのことなど体験した著者だからこそ書ける内容が詰っています。
一生を雪と氷の研究にささげた日本の科学者・中谷宇吉郎(1900年~1962年)は、「雪は天から送られた手紙である」との言葉を残しています。子どもたちに、その手紙を受け取って欲しいものです。