Vol.069AI(なお校長)との関わりを通して考える「生命」についての授業①
AIとともに生きる未来のために

 「多様性に富んだ道徳の授業ってなんだろう。」

 道徳が教科化され、教科書を軸に学習が進められていると思います。本稿では道徳の授業の多様性を考えたいと思います。何に焦点をあてて「多様性」と捉えるかによって考え方は様々です。例えば、教科書教材をどう扱って学習するかで、多様な授業改善が考えられます。また、多様な素材を“教材”として取り扱うこともできます。

 10年前、教員1年目の私は10年後にこんなにも利便性が高い世の中になっているとは想像もつきませんでした。「教えなきゃ」と無我夢中で目の前の子どもたちと関わっていました。今、世の中の変化と共に、教育に対するニーズも変わっています。道徳についても、独立した教科として捉えるだけではなく、様々な領域の知識や経験を総合して学んでいく学習デザインを考えることが、これからの教育に求められます。学ぶ内容のみならず、我々教員自身が子どもの指導観や教育の在り方を日々更新し、創造的なものにしていくことが、変化の著しい現在を生き抜き、未来を担う子どもたちの心を育む支えになるのではないでしょうか。今回紹介する実践もそうした考えのもとで生まれたものです。

 さて、AI、特に深層学習を考えるとき、多量のデータをもとにしたその判断能力を生かして、子どもの学習や教師の仕事のサポートをする役割として思い浮かべる先生が多いと思います。実際、AI機能を備えた機械やシステム、翻訳や情報サービスは実に身近で実用的になりました。一方、AIを音声やその他の認識、対話や挙動の生成に生かして、人間との情緒的な相互作用を作り出し、犬型ロボットaiboのようにペットとして思い入れのできる対象も作られています。AIによって、機械がより精妙な判断力を持たされるだけでなく、人間が求める一つの生命となり、人間に寄り添うことに喜びを感じる人工物が生み出されていくかもしれません。

 AIが今後、人間のパートナーとしてより身近な存在になっていくならば、単に利便性が高い機能的な役割を果たすだけではなく、人の心を豊かにしたり、助けたりする存在としても感じられ、そこに学びがあると良いのではないかと考えました。

 子どもたちが、AIと共に生きる日が来たとき、AIだから、人間だからと区別するばかりでなく、共に生きる相手として考えていけたらいいなと…。

 次回は、授業の実際と子どもの様子を紹介します。

東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 面川怜花
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2018.12