皆さん、評価と聞くと成績や点数といった評定を想像される方が多いのではないでしょうか。私自身もそうでした。なぜ、評価=評定になってしまうのか。それは評価そのものを誤解しているからです。
確かに、「評価とは評定するもの」という考えは、間違いではありません。しかし、我々教師が行っている評価は、一般的に使われている評価でありません。私たちが行っているのは教育評価というものです。教育評価は、「教育がうまくいっているか把握し、そこで捉えられた実態をふまえて教育を改善する営みとして定義されるもの」(1)とされています。噛み砕くと、教育評価は直接的に子どもたちを評価することではなく、教育のプロセスがうまくいっているかを評価するということになります。もう少しミクロな視点で見ると、自分の行った授業で子どもの理解が進んだのか、そうでないならどこを改善したら良いかを振り返ることをいいます。この概念は、アメリカでmeasurement【測定】の概念を批判するところからevaluation【教育評価】として成立したものです。
そう考えると、子どもたちの成績や点数をつける「評定」は、教育評価の一部であることが分かるでしょう。評定をつける際に意識するのが、形成的評価と総括的評価です。形成的評価とは、「①目標の実現を目指し資質能力を育成する②指導の在り方を振り返り授業改善に生かす評価のこと」で、総括的評価とは「指導の結果を記録し評定を出すための評価」をいいます(2)。
ここで大切なのは、教師は自分の指導したことを総括的評価として、それに基づいて子どもたちの成績を出すということです。これが評定です。そして、総括的評価を行うには、測りたい能力を適切に測ることができる課題を設定する必要があるということになります。
そう考えると「指導と評価の一体化」や「授業の逆向き設計」が重要な理由が見えてきます。ペーパーテストでは、ある程度の知識・技能は見取ることができても、思考力・判断力・表現力を本当に見取ることができているのか考える必要があります。また、子ども自身が学びの中において、自分がどこにいて、どこに向かえばいいのかを理解するために、自己評価をすることも大切です。教師と子どもが共に評価について考え共通認識を持つことで、学びはより深いものとなっていきます。
評価についてモヤモヤが増えてしまったかもしれません。具体的にどんなことをすればいいのか、ぜひ現場の仲間たちと考えてみてください。それが評価を楽しむ第一歩になるはずです。この文章が、「評価は難しい」「面倒くさい」ではなく、「おっ、自分にもできそう!」「明日からやってみようかな?」と思ってもらうきっかけになれたら幸いです。