Vol.081Processingを用いて,図形の理解を深める学習①
~図形領域「垂直,平行と四角形」における実践~

 英国の教科ComputingにおけるComputational Thinkingの概念の中に、「アルゴリズム的思考」が挙げられています。この「アルゴリズム的思考」について、太田他(2016)※は,「問題を解決するための明確な手順で、同様の問題に共通して利用できるもの」としています。

 算数の学習において、アルゴリズムは数多く扱われます。代表的なものが、「数と計算」領域における「筆算」です。計算しやすい手順について考えることを通して、筆算のアルゴリズムを見いだし、問題解決に活用します。筆算のアルゴリズムは、桁数の違い等に応じて手順を修正することで、発展させながら活用していきます。

 こうした学習に内在する「順次処理」「条件分岐」「繰り返し」は、算数学習とコンピュータのどちらにも共通する重要なキーワードです。算数でプログラミングを活用するとき、この3つの原理を活用しない手はありません。

 今回紹介するのは、「図形」領域におけるプログラミングを位置付けた算数授業(第4学年)の実践です。プログラミング言語「Processing」を用いて、平行四辺形の作図について考える学習を実践しました。本実践では、図形を描く(完成させる)という「結果」ではなく、図形を作図する「過程」を重視しました。ノートを用いた作図とPCを用いた作図の共通点や相違点を考えることを通して、作図の仕方や図形そのものについての理解を深めることをねらいとしています。

 授業を構想するに当たって重視したのは,特に「順次処理」と「繰り返し」に目を向けさせることです。そこで、本実践前に、「Processing」に慣れるための学習を設定しました。

 児童には、[point]点、[line]線、[stroke]色、[ellipse]円の4種類のコマンドを示しました。各自が試行錯誤する中で、色を設定する[stroke]というコマンドに注目させ、どの順で入力すると、意図した図形に着色できるのかについて考えさせました。さらに、[ellipse]と[line]の重なり方が異なる2つの図形を示し(下図参照)、何が違うのかについて思考を促しました。

 円と線の順序の違いに気付いた児童は、それぞれの図形のコードに関心を抱きました。この図形の描き方を探究する中で、「このコードを入力すると線が引ける」ということだけではなく、「どのコードを,どのような順序で入力するとよいのか」という順次処理に目が向くように布石を打つ学習を設定しました。

 コードの違いに着目した児童は、[ellipse]と[line]の順序を入れ替えることによって、図の重なる順が変化することに気付き、それを各自のPC上でも確かめ、理解を確かにしました。

 こうした学習の布石を打った上で、算数学習にプログラミングを位置付けた「垂直,平行と四角形」の実践をしました。算数授業の詳細は、次回に詳しく紹介します。

※太田 剛・森本容介・加藤 浩(2016).「諸外国のプログラミング教育を含む情報教育カリキュラムに関する調査-英国,オーストラリア,米国を中心として-」.日本教育工学会論文誌40(3).

北海道教育大学附属旭川小学校 西條 俊介
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