Vol.133「主体的・対話的で深い学び」を目指した読書教育
リテラチャーサークルの取り組みから

2021.12

 新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」が重視されています。これを具現化する読書指導の方法の1つにリテラチャーサークルがあります。
 リテラチャーサークルとは、1990年代にアメリカで広まった子供たちの読解力を育成する方法の1つです。3~5人のグループで同じ本を読み、役割を決めて話し合うという手法です。4回で読み切るという計画なら、本を4つの部分に分け、読む日にちを割り当てます。
 役割には以下のようなものがあります。

  1. 思い出し屋 あらすじをまとめる役
  2. イラスト屋 お話のワンシーンをイラストに描く役
  3. 照明屋 心に残った一文にスポットライトを当てる役
  4. 質問屋 みんなでディスカッションするための問いを考える役
  5. つなげ屋 自分の性格や経験とつなげて読む役
  6. 予想屋 先を予想する役

 この活動を「主体的・対話的で深い学び」という観点から見てみましょう。まず主体的な学びについてです。私は、リテラチャーサークルを行う際、読む本をリストの中から自分で選ぶようにしています。リストには、本の難易度と簡単な内容が分かるように示しておくため、自分に合った本を選ぶことができます。読書力や興味関心に合わせて本を選ぶことができるので、主体的に取り組みやすくなります。
 次に、対話的な学びです。リテラチャーサークルでは、グループで読む際の役割が決まっているので話し合いがしやすいという特徴があります。役割が選べるので、自分が話しやすい内容で対話することができます。初めは対話が続かないこともありますが、繰り返し行っていくことで、相手の話につなげて話すことが上手になります。同じ本を読んでいることや本の解釈には正解がないことなども対話を促す要素として働きます。
 最後に深い学びです。一般的な読みの授業では、全体で読み進めていくため、一見読みが深められたような気になります。でも、一部の児童の発言で授業が進んでいる場合があり、実際には読みの力がなかなか身に付いていない児童もいます。リテラチャーサークルでは、少人数グループで役割に基づいて読んでいくため、自分なりに読み進めていく力が付きます。また、それぞれの役割で必要になる力は、読書をする上で大切な読み方の方略になっており、他の本を読む際のヒントになります。たとえば、質問屋では、問いを見つける力が養われます。読書する中で自分なりの問いを見つけ、考えながら読むことは、大人の読書でも非常に大切なことだと言えます。
 読書は生涯学習の観点からも重要だと言われています。授業の中でも積極的に取り入れ、「主体的・対話的で深い学び」の観点から、読書教育を見つめていくことが求められているのではないでしょうか。

東京都国分寺市立第四小学校
佐藤由佳
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