国語科は、話す・聞く・書く・読むなどの言語活動を通して、言葉そのものを学ぶだけでなく、その使い方も同時に学ぶことができる教科です。さらに、どのように学習を進めていくかについての思考力・判断力や、学んだことを活用していこうとする「学びに向かう力」も育んでいきます。つまり、一つの単元で、言葉に関わる多様な資質・能力が育まれる授業を行うことが大切です。
以前に行った「なぞとき招待状を書こう」の実践では、一年生の子ども達が書くことの目的や方法自体も自分たちで話し合いながら、学びを創り上げていきました。
その特徴は、大きく三つありました。第一の特徴は、「子どもの思いと共に、深化・発展する学習活動」です。「学校のことをもっと知りたい!」という子どもからの声で、何度か学校探検を行った後、「この活動のゴールをどうするか?」と投げかけたところ、「学校のことを知らない人に教えたい。」という意見が出ました。このように、子どもの願いを出発点にして活動を積み重ねていくことで、その願いが「知りたい」から「教えたい」へと変化し、学びが生まれ深まっていったのです。
第二の特徴は、「必要感のある書く活動」です。学校探検をして学校のことを知り、それを学校のことを知らない誰かに教えるとなったら、その相手の手を引いて紹介したい場所へ案内すれば目的は達成できます。しかし、「もっと工夫ができないか?」と投げかけた時「自分が紹介したい場所に関するクイズを出して、相手に学校探検をしてもらう。」というアイディアが生まれました。そして、その後の話し合いで最終的に、「お家の人に『なぞとき招待状』を送って、学校を探検してもらう」という流れになりました。ここで大切なのは、「学校のことを誰かに教えたい」という目的意識・相手意識はもちろんですが、「相手を喜ばせたい」「面白くしたい」という子どもの願いでしょう。その願いを引き出すことで、書く活動の必然性や意欲が生まれ、それ以降の学習を行う原動力となりました。
第三の特徴は、「自分の足で確かめる自己評価・相互評価」です。自分が紹介したい場所の良さが表れているか、相手が本当にその場所に行けるのかなど、自分の書いた文章を読んで自己評価し、必要があればさらに取材を重ね文章を直すことに生かしていきました。また、自分の書いた文章をクラスの友達に読んでもらい、その友達が実際にそのお気に入りの場所に行けるか、その場所の良さが伝わるかを吟味してもらいました。このように、自分の書いた文章が相手に伝わる文章になっているかを実際に自分達の足で確かめながら自己評価・相互評価することが、低学年の書く活動においては重要なことと考えます。