皆さんはカリキュラム・マネジメントという言葉を聞いてどのようなイメージを持ちますか。私は、教育計画や年間指導計画、教務主任といったようなどこか一律で形式的であり、一般の教員にはあまり関係ないようなイメージをもっていました。しかし、社会に開かれた教育課程に向けてカリキュラム・マネジメントが重要視されている今、そもそもそれは何なのか、どうのように実践していけばよいかという問いがあり、調べることにしました。
カリキュラム・マネジメントについて、田村(2011)は「各学校が学校の教育目標をよりよく達成するために、組織としてカリキュラムを創り、動かし、変えていく、継続的かつ発展的な、課題解決の営み」であると述べ、教育目標の具体化のために、カリキュラムを作り上げていくことを図で示しています(1)。その図は今まで私がイメージしていたものに近かったのですが、その中に、単元や授業のPDCAというところも含まれていることが意外であり、ここに着目したいと思いました。
ここでのカリキュラム・マネジメントとは、単元や授業で計画、実施、評価のサイクルを回すことです。具体で言えば、「算数の授業において、計算の習熟を目標に授業を計画して実施したが、実際には児童がなかなかやりきれず、また児童の理解も不十分だったため、次の時間の最初に手続きの確認とミニプリントを足す」といったような、日ごろ子どもたちの様子に合わせて行われていることも、日常の小さなカリキュラム・マネジメントだということです。これならば、全教員が日常的にできることなのではないかと考えました。
「カリキュラムの出発点は教育をする側にある。しかし、カリキュラムは教師の側だけにあると考えてはいけない」(2)とある通り、時数管理としての教育課程管理から、子どもの学習経験をマネジメントすることへの転換が必要です。このように考えると、今までの一律で形式的で一部の教員のものだったカリキュラム・マネジメントが、子どもに合わせて生き生きと変化していく、全ての教員が関わるものに変わるように感じました。
学習者である子どもが、日々どのようなことを学んでいるのか。その学びを高めるためにどうしたらよいか。日々の授業の中で意識し、柔軟に計画を変更していくカリキュラム・マネジメントを行えると、学校全体のカリキュラムに対しても問い直しが起きるのではないでしょうか。そして、学校全体が、子どもにとってより素敵な場所になるのではないでしょうか。そこに日々の授業から広げるカリキュラム・マネジメントの可能性を感じています。