Vol.098プログラミングを自ら活用する小学生② ~プログラミング教育を「道具を委ねる」へ~

2020.02

プログラミングは堅苦しくない

 知り合いの先生から「プログラミング。何をしたらいいの?」と聞かれます。ここ数年、プログラミング教育の講師として全国の教育委員会や学校等に伺っています。研修では具体的な体験を交えながら「プログラミングは実は簡単である」「活用に楽しさがある」「教えるのではなく委ねるスタンスが大事」という事を伝えてきました。今年度のCREDUONでは、隔月でプログラミングの実践が特集されました。子どもたちと一緒に楽しみながら取り組んでいる先生方の実践は、これから取り組もうと思っている先生方の後押しとなると思います。
 先日、文部科学省「小学校プログラミング教育の手引」(第三版)が公開されました。この手引はプログラミング教育の理論的な部分も具体的な実践もよくまとめられていますが、「このツールでこうやりなさい」という縛りは書かれていません。大枠と例示の掲載となっているのは、子どもたちの実態や各自治体のICT整備の状況に合わせた、柔軟なプログラミングの活動を求めているからです。堅苦しいものではないのです。

様々な活動でプログラミングを駆使する竹早小の4年生

プログラミングを子どもたち自ら活用するために

 プログラミング教育は「ICT活用」と「コンピュータの理解」をつなぐものです。アンプラグドというコンピュータを使わない内容もありますが、目的はあくまでICT(コンピュータ)を使いこなし、コンピュータを理解することで子どもたちの学びをより良くことです。しかし、気をつけるべき点もあります。例えば、調べ学習でインターネットの情報検索をする際、「検索はじめて」「文字入力はじめて」などの2重苦を強いる場合はありませんか?「プログラミング初めて」「保存(入力)はじめて」も同様です。私たち教員は、低学年から高学年まで、子どもたちの実態に合わせてどのような活動を並べ、使いこなしていけるようにするのか?を考えていかなければなりません。それを実現するためには、

低学年 コンピュータと楽しく出会う
中学年 楽しく使いこなしていく
高学年 道具としての選択肢を増やす

 上記のような大きな粗い(裁量をもたせた)目標を設定することが重要です。使いこなせる道具となれば、様々な場面で子どもたちは自らICT(プログラミング)を活用していきます。

教えるのではなく「道具を委ねる」

 確かなことは、私たち教員や大人が考える以上に、子どもたちは「できる」という事です。今後、プログラミング教育に関する様々な取り組みが広がり、知見も積み重なり、想像以上に子どもたちが輝く姿を目の当たりにするでしょう。そして、「教える」ではなく「委ねる」ことがポイントであることも共有されていくはずです。これから取り組まれる先生方には、大人を超えていく子どもたちを育むために、プログラミングという名の「道具を委ねる」ことを大事にしてほしいと思います。

東京学芸大学附属竹早小学校 佐藤正範
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