Vol.093プログラマーの時間①「とべ!ドローン」前編

2019.12

 「作家の時間」や「科学者の時間」など、ワークショップ型の授業が日本でも取り入れられ始めています。知識を一方的に教え込むのではなく、子供たち自身が、一人の作家や科学者として実際に活動しながら力を付けていく時間。
 私は、プログラミングもそのようにあるべきという思いから、総合的な学習の時間の一部を「プログラマーの時間」と名付け実践してきました。

 今回使用した教材は、IchigoJam。1,500円という低価格で手に入る、日本製のプログラミング専用子どもパソコンです。ネット環境を要しないことから、教育現場にも取り入れやすいツールです。モニターとキーボードにつないだ「スクールセット」を用いて、BASIC言語によって様々なプログラミングが体験できます。

 現在、学校教育に多く取り入れられているのは、Scratchをはじめとした「ブロック型プログラミング言語」です。ブロックと呼ばれるひとまとまりの命令を並べることで、キャラクターを動かしたりアニメーションを流したりします。
 一方のBASIC言語は「テキスト型プログラミング言語」と呼ばれ、一文字ずつタイピングすることでプログラムを組みます。
 難易度やハードルが高くなるテキスト型を、私があえて選ぶのは、ブロック型にはないきめ細やかな動きが可能になることと、実際動いたときの感動が大きいことが主な理由です。

 今年の5年生の子供たちとは、ドローンをプログラミングで操縦することに決めました。理由はズバリ、楽しいと感じてもらえそうだったから。物体が宙に浮くだけで、大人でさえもワクワクするものです。自分がプログラミングをすることによって、ドローンが思い通りに空を飛ぶ。やってみたい!と思わせるには十分な、教材の力です。

 プログラミングにおいて、大事なのは「やってみたい」という好奇心です。タイピングの壁や英単語の難しさなど、テキスト型の言語で行うプログラミングでは何度も試行錯誤を繰り返すことになります。そんな時でもくじけない心、トライ&エラーを積み重ねられるエンジンは「やってみたい」の好奇心だと思うのです。
 第2回ではいよいよ、実際にドローンを飛ばす授業の様子についてレポートしていこうと思います。

小金井市立前原小学校 教諭 蓑手章吾
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