私は、1年生の担任をする前年に1年生の保護者として我が子を見守っていました。その経験から、保護者の視点も踏まえて、「1年生の担任の先生が知っておくとよいのでは?」と思うことを紹介したいと思います。まず、就学前に、どのように保護者が子供の情報を受け取っていたかについてです。私のように保育園に子供を預けている場合、朝と帰りに保育士さんと対面して、子供の引き渡しを行います。そのため、毎日、担任の先生から子供の様子を聞くことができました。送迎で顔を合わせる保護者の方と、子供の悩みを打ち明け合う機会も頻繁にありました。それが、小学校に入学した途端、学校の情報を得る機会がほとんど無くなります。つい先日まで、毎日のように子供の様子を教えてもらっていた保護者は、小学校の情報がまったく得られないため、怪我をして帰ってきたり、喧嘩して帰ってきたりすると、一気に不安が増大します。そこで大切なのが、「学校の様子が分かる情報を提供すること」です。保護者が子供に学校の様子を聞いたとき答えられないと、保護者の不安はさらに募ります。ぜひ、子供が自分の言葉で学校生活のポジティブな情報を伝えられる力を育ててください。学校で楽しかったことを話す宿題を出したり、給食の好きなメニューを紹介させたりしてもよいでしょう。学年便り等のお便りでは、学校で楽しく過ごしている様子を積極的に発信してください。保護者会や学校公開日には、子供の様子が伝わる動画を見せるなどの工夫も効果的です。
次に、学習習慣の違いについてです。「授業中じっとしていられない」子供が増えた」と言われがちですが、就学前には「じっと座って話を聞く機会が少ない」というほうが正しいと思います。就学前の子供たちが45分間ずっと座って活動することは、ほとんどありません。ですから、1年生が10分姿勢よく座っていられたら、十分です。1年生の子どもの集中力は長く続かないと思って、体を動かしたり、友達と話し合ったりする活動を取り入れるとよいでしょう。子供が飽きている時には、授業が単調かもしれないと活動内容を振り返り、考え直す必要があります。例えば、授業中、班ごとに黒板の前で発表させるだけでも、立つ・歩く等の動作が加わり、単調になりません。音楽の授業なら、歌いながらイメージを全身で表現させたり、手遊び歌で友達と交流させたりと、体を動かす授業展開を考えます。45分の授業を15分に分けて、3つの活動を取り入れることがお勧めです。近年、保護者の要望が多岐にわたり、若い先生方が疲弊している姿を目にすることが増えました。私の話を聞いて、保護者の理解が深まり、1年生の子供たちへの適切な対応の一助になれば幸いです。