夏休みが終わり、2学期が始まる日。子どもたちが抱えているのは、自由研究の作品です。工作やポスター、模造紙など様々な作品を抱えて教室に入ってきます。教師にとっては見慣れた毎年の風景です。さあ、どんなことを調べてきたのかな。
一人ずつ発表してもらいました。水泳の得意な子が、離岸流について説明しました。離岸流による水難事故があることを知って、子どもたちは自然の驚異に息を飲みました。
果物が好きな子が、食べた後の種を植えてどうなるかを実験した結果を披露しました。その子は実物の鉢植えを持ってきていて、勢いよく伸びた葉が皆の注目を浴びました。
お菓子のパッケージの色が気になり、外国のお菓子と比べた子がいました。色鮮やかなお菓子の写真が目を引いて、外国の派手な色使いに皆の興味が湧いた瞬間でした。
雷について調べた子が、実際に雷を写真に撮って見せてくれました。怖いもの見たさでわっと近くに集まる友達に囲まれ、ふだん物静かなその子は、嬉しそうな表情でいっぱいです。
どれも、教科書には載っていない内容です。あるいは、ほんの少し触れられているくらいです。
だからこそ、子どもたちの好奇心をくすぐるのでしょう。とても興味深いものばかりです。
友達の発表を食い入るように見ている子どもたちの様子を見ながら、やって良かったと思ったことがありました。それは、何について調べるかを自分で決めたことです。夏休みに入る前に考える時間を作り、短冊に書き残しておきました。
夏休みの個人面談で、保護者に課題を紹介しました。「〇〇さんは、こんなテーマにしましたよ」「そうでしたか。自分で決められてよかった」「もう始めているんですよ、毎日観察しています」「最後どうなるか見守っています」などと、会話も弾みました。何について調べるのかが明確になれば、自分で進めることもできるのです。
最近、自主勉強を始めました。自分で調べたり学んだりしたことをノートにまとめてくるという宿題です。課題もまとめ方も自分で決めます。そして友達と読み合って、コメントを交換するのです。
ラグビーやサッカーなどのスポーツについて。好きな車や楽器、ゲームについて。漢字の成り立ちについて。世界の偉人について。人体の不思議さについて。妖怪の種類について。
知っていることより知らないことが多い子供たち。知らないことに出合うとき、それにどう向き合うかを考える。そんな力を付けていってほしい。そして、教室をそんな学びの空間にしたいと思っています。