Vol.035自分の心を見つめ、素直に思いを言葉にできる道徳授業をめざして①
のびのび語る〜1年生 5月「かぼちゃのつる」の授業実践〜

 私は、子どもたちが“のびのび”と学習する授業をめざしています。素直に思いや考えを伝え合い、お互いのよさや違いを認め合う中で、子どもたちはありのままの自分を肯定的に受け止めることができると考えるからです。

 子どもたちにとってありのままの自分を見つめる機会となるのが、週に一度の道徳の授業です。今回は、“のびのび語る”をテーマに、1年生の実践(主題名「どこでやめるのか」、A[節度、節制]、教材名「かぼちゃのつる」、5月実施)を3つのポイントに分けて紹介します。

 最初のポイントは、「子どもたちを教材の世界に引き込む」ことです。黒板全面を舞台として、お話の世界をその場で体感できるようなシアター形式で、教材提示を行いました。子どもは教材の世界に浸り、登場人物の気持ちになりきることで、ありのままの自分を語ることができます。なぜなら、自分ではない登場人物を通して語ることで、自然と児童の本音や素直な気持ちが表れてくるからです。子どもたちは一生懸命にお話を聞き、思いをどんどん発表していました。

写真1 黒板を使ったシアター(かぼちゃは、モールと強力磁石を使って表情を変えることができる)

 次のポイントは「問いに対する丁寧な見取りを行う」ことです。自己の振り返りでは、「みなさんもかぼちゃさんのように自分のしたいことをやり過ぎて、失敗してしまったことはありますか。学校やおうちでの自分のことを振り返ってみましょう。」と問いました。振り返りでは書く活動を取り入れる場合が多いと思いますが、1年生の1学期の子どもは文をあまり書くことができません。そこで、この時間は全体での発表ではなく、個別の聞き取りを行いました。一対一で話ができるので、失敗談でも安心して語ることができます。子どもたちは、「先生あのね…」と自分のこれまでのことや思いを素直に語ってくれました。語ってくれた言葉は、その時間の評価や子ども理解に生かすことができます。授業者が一人一人のよさに気付き、認めてあげることで、子どもたちは自分に自信をもつこともできるのです。

写真2 振り返ったことを語る様子

 

 最後のポイントは「楽しい道徳の時間にする」ことです。道徳の授業を充実したものにするためには、道徳が楽しい時間であることが重要です。クラスの実態に応じて、動作化を取り入れたり、小道具を使用したりすることで、楽しみながら学習することができます。

写真3 動作化している様子(かぼちゃがつるを伸ばしているところ)

 

 道徳の授業に立派な発言や素晴らしい発言を求める必要はありません。本心ではない表面的な言葉では、ありのままの自分を見つめることにはならないからです。素直な言葉をどれだけ引き出せるかが勝負です。

東京都昭島市立武蔵野小学校主幹教諭
田中芳子
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