Vol.120心理師からのアドバイス1②
子どもたちの心に寄り添うということ

 子どもの困った行動というのが、子どもの“SOSのサイン”であるということは、今までに耳にしたことがあるかと思います。しかし、日々子どもと向き合っている先生方にとっては、“SOSのサイン”とわかっていても、その行動やエネルギーの大きさに圧倒され、疲弊してしまうこともあるでしょう。
 先生方は授業や生活指導だけではなく、子どもたちの生活や情緒をも支えているため、簡単には割り切れない情緒的なつながりを築かれています。だからこそ、感情に巻き込まれてしまい、子どもの心に寄り添うことが難しくなることはよくあります。
 そのような中で、先生方に大事にしていただきたいことを3点にまとめてみました。

①自分の“心”に目を向けること。
 子どもたちの心に寄り添うためには、大人も心身ともに安心・安定した状態であることが重要です。しかし、子どもの困った行動に向き合った時に、先生方が困ったり傷ついたり疲れたりするのは当然です。その時の自分の思いや考えを自覚し、「今日はちょっと傷ついたな」「気が張って当然だな」と自分自身を認めてあげましょう。そして、安心できる相手にその思いや考えを言葉にして伝えたり、実際に体を休めたりと、自分を労わる時間を大切にしましょう。

②子どもの“痛み”に目を向けること。
 困った行動の背景には、必ず子どもにとっての“痛み”があります。これは、今までの経験をもとに抱えてきた傷つきや苦しみであり、わからない・できない・受け入れてもらえないという不安や悲しみなどのネガティブな感情も含みます。その“痛み”に触れたとき、心は子ども自身を守るために困った行動を引き起こします。日々の様子を振り返りながら、どんな場面で、なにがきっかけで困った行動が生じるかを探っていきましょう。

③痛みの“背景”に目を向けること。
 子どもの抱える痛みに気づけたら、次は痛みの“背景”に注目しましょう。これは、子どもを主人公として物語を編んでいくような、より具体的かつ実存的な仮説を立てる作業です。情報を集めて整理することで、「子どもが“痛み”として感じる理由はなんだろう」という疑問に答えられることが目標です。
 注意していただきたいのは、「発達障害だから」「親が離婚しているから」などという画一的な認識で終わりにしないことです。発達障害でも親が離婚していても、抱える思いや感覚は子どもによって異なります。そのことを通して、“子どもが何を思い、何を感じているか”に目を向けるようにしましょう。

 先生方の“子どもの心に寄り添いたい”という願いは、時間がかかるとしても子どもたちに必ず伝わります。そう願える自分自身を誇りに思っていてください。

臨床心理士・公認心理師
溝口 碧
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