3月は別れの月…学校や友達との別れの様子が報道されています。今回は、別れから出会いへと「羽ばたく子どもたちへのプレゼント」をテーマにした本を紹介します。
まずは、春の訪れを感じ楽しめる本です。
『すずをならすのはだれ』(安房直子/作、葉祥明/絵、PHP研究所)は、雪で真っ白い森を歩いていたウサギが、あまりの寒さに小さな家の扉の鈴を鳴らして中に入れてもらいます。ストーブにあたるかわりにとウサギが頼まれたのは、歌を歌うことでした。タヌキにネズミにシカ…次々と家に入れてもらっては歌を歌うのでした。「よもぎにはこべにクローバー なずなにかたくり かやつり草…」。家の主は春の精で、動物たちは春の支度を手伝っていたのでした。ある日春の風が訪れて、森の雪もなくなり花が咲き始めます。1年生から楽しめる童話です。
『根っこのこどもたち目をさます』(ジビレ・フォン・オルファ—ス/絵、ヘレン・ディーン・フィッシュ/文、石井桃子/訳・編、童話館出版)は、90年ほど前にドイツで生まれた絵本です。地面の下でぐっすり眠っていた根っこの子どもたちが、土のお母さんに起こされます。目覚めた女の子は春の洋服を縫い始め、男の子はカブト虫やテントウ虫に春の色を塗ってやります。準備が整い地面の上に出て行った子どもたちはあちらこちらに散らばり、花を咲かせます。繊細で温かみのある絵が、読み手を惹きつけます。
次の2冊は、新しい環境へ一歩踏み出す子どもたちの背中をそっと押してあげる本です。
『あるきだした小さな木』(ボルクマン/作、セリグ/絵、花輪莞爾/訳、偕成社)は、「たくさん見たいものがあるんだ」と歩き続けて、ついに自分の居場所を見つけて根を下ろし、周りの人に安らぎを提供する大木に成長するというフランスの童話です。『手と手をつないで』(マーク・スペアリング/文、ブリッタ・テッケントラップ/絵、三原泉/訳、BL出版)は、 雨の日も風の日も、ふたりで一緒なら大丈夫。すてきなものを見つけよう、ともだちをつくろうよと語り掛ける絵本です。
4月は出会いの月、新しい日々のスタートです。表紙に笑顔があふれている『わかれのことば』(阪田寛夫/詩、田中六大/絵、岩崎書店)は、子どもたちに親しまれている坂田寛夫さんのユーモアあふれる詩と、詩にぴったりの絵。「はいしゃさんなら はいちゃ」のページでは声を出して笑ってしまいました。皆さんも自分らしい言葉で別れて、子どもたちを新生活に送り出してください。
先生方、1年間お疲れ様でした。そして、「学校図書館&授業づくりのヒント12ヶ月」を読んでいただきありがとうございました。