Vol.188教師生活を愉しむ

2024.12

 私は大学卒業後、すぐには教師にならず大阪にある某テーマパークで仕事をしていました。私はテーマパークオープンの約半年前から研修を受け、そこでゲストを楽しませるためにはどうすればよいかを徹底的に学びました。最も印象的だったのは「私たちが楽しんで仕事をしなければ、ゲストを楽しませることなんてできない」という理念でした。これは教師となった今でも大切にしている考え方です。子どもたちの日々の学校生活を豊かなものにするためにも、まずは教師である私自身が楽しんで仕事をすることを常に意識しています。

子どもの発想を楽しむ

 教師(大人)が子どもの発想(世界)をおもしろがれると、授業が楽しくなると思います。入念な授業準備をしても、教師の期待通りの反応をする子もいれば、逆にそうでない子もいますよね。ですが、そんな様々な子どもの反応すらも楽しみながら授業を行っていきたいですね。教師はある程度は子どもがどんなことを言うのかを予想して45分間の授業を計画すると思います。しかし、時として子どもたちはこちらの予想をはるかに上回ること、あるいは全く予想していなかったことを言い始めることが往々にしてあります。そんな時も無理に予定していた授業プランに引き戻す必要はないと思います。子どもたちの思考にゆだねてみることで、思いもよらぬ深い学びに展開することがあります。教師がその展開を面白がっている姿を見せることで、子どもたちもまた夢中になって授業に向き合ってきます。当然、明らかにその授業の本質から大きくかけ離れている話になった場合は引き戻す必要があります。そうでない限りは、子どもの思考と言葉に乗っかって、その発想を楽しみながら授業を進めることで、教師にとっても子どもにとっても充実した授業になるように思います。子どもにしか見えない世界、子どもにしかできない発想というのが確実にあると思います。
大人の凝り固まった想像力では絶対に出てこないような子どもの発想を、面白いながらも授業としてしっかりとファシリテートしていく技量を高めていきたいものです。

今日という一日に期待感を持たせる

 朝の会でいきなり連絡事項を伝える事はしません。朝のスタートとしては寂しすぎますよね。今日という1日に期待感を抱かせる語りかけができるよう、言葉のセンスと醸し出す雰囲気を磨きたいものです。子どもたち一人一人が様々な環境を抱えて学校に登校しています。複雑な家庭環境の子、家庭でいつも叱られてばかりいる子、友達との関係がギクシャクしている子、勉強が苦手な子…など様々な感情を抱えつつもそれでも学校にやってきているのです。どのような子にとっても学校という場所は安心して生活できて明るい気持ちが抱ける場所でなければならないと思います。がんばって学校に来たという子もいますから、朝の会で担任が話す内容がいきなり事務連絡では寂しすぎます。運動会や修学旅行などの大きなイベントが近いときには、それらにちなんだ話をして子どもたちの気持ちを高めてあげればいいと思います。しかし1年間の長い学校生活において毎日何らかのイベントがあるわけではありません。特に何もない1日でも、子どもたちをリラックスさせてあげられるような話から始めてはどうでしょう。先生が最近経験した面白い話(といってもそう頻繁に面白い体験をできるわけではありませんが)多少の作り話や話を盛っても良いので、子どもたちを明るい表情にさせてあげられるような話をすればいいと思います。学校の先生は日々話術を磨かなくてはならない仕事ですね。

茅ケ崎市立浜須賀小学校
脇坂圭悟
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