Vol.076プログラミング教育導入に向けた現状①
必修化直前「小学校におけるプログラミングの活動」の現在地

2019.04

プログラミング必修化を前に

 2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化となります。2019年3月に採択された新しい教科書にもプログラミングの内容が記載されたように、各学校でも導入に向けた指導計画づくりなどの準備が急ピッチで行われていることでしょう。準備年度になる今年度、CREDUON for TEACHERSでもプログラミング教育の特集が組まれることとなり、偶数月で私自身やプログラミング教育で意欲的な実践をされている先生方にバトンを渡しながら、プログラミングを活用した魅力的な実践を紹介することとなりました。計12の記事となりますのでご期待ください。

小学校におけるプログラミングの位置づけと観点

 「プログラミングで何をするの?」とよく聞かれます。その答えを端的に言えば、プログラミング教育の目的は「コンピュータを理解して使えるようになること」で、方法は「様々な活動の中で、コンピュータを色々な方法で活用する」と言えます。その活用の1つに新学習指導要領では「プログラミング」が導入されたとお考えください。

 新学習指導要領では「教科:プログラミング」ができるわけではなく、ICTの活用と同じく学習活動全体で取り扱うことが示され、「プログラミングの位置づけ」については、文部科学省から以下のようなAからFまでの分類が出されました。

 分類のA・Bで実施する場合、プログラミングは目的ではないため、プログラムができた・動いたなどの評価はせず、各教科の内容に関しての評価を行います。しかし、教育課程全体で見れば、資質能力「情報活用能力」の育成をするためにコンピュータの活用が位置づき、プログラミングの活動に関しては「プログラミング的思考」の育成という目的が定められています。この点は、総合的な学習の時間で「科学技術」「情報」に関する観点を定めたり、分類のC・Dの活動で「情報活用能力」等を観点としたりすることで評価をすることも可能です。

 ですが、プログラミングは粘土のようなもので、子どもたちは自由に自分たちのやり方でプログラムを作ります。小学校段階では「簡単なプログラムができる」「慣れ親しむ」ことを目指し、成功体験を作り出すことがとても大事になります。

プログラミングに関する学習活動の分類と評価

よいプログラミングの実践事例とは

 文部科学省からの例示では、「5年 算数 多角形」や「6年 理科 電気」等の授業が紹介されていますが、これらが教科書の内容として扱われたのは、「教科の内容の理解を深められている」と「プログラミング環境の特性を生かした活動となっている」ことの両方を担保できているからと言えます。この2点は、よいプログラミングの実践をはかるうえで、指針となる要素と言えます。様々なプログラミング環境がありますが、それぞれの特徴や良さを生かすためにも、様々なプログラミング環境に楽しんで触れてみてほしいと思います。

各教科の専門家のみなさんがプログラミングと出会うこと

 「未来の学びコンソーシアム」のポータルには事例が集められていますが、決して潤沢に事例があるわけではありません。各教科のプロである先生方がプログラミングと出会うことで、今までになかった新しい学びの形がこれから生まれるはずです。授業事例は募集中です。プログラミングを活用した事例を是非ご提案ください。

東京学芸大学附属竹早小学校教諭 佐藤正範
pdfをダウンロードできます!