Vol.108学校における特別支援教育1②
小学校における特別支援教育 スモールステップがクラス全員参加の授業にする―音楽の授業実践から―

2020.07

 自信がない子、表現することが苦手な子、「わかった」「できた」を実感しにくい子など、教室には様々な子がいます。その子たちを変えることができるのが授業です。どんな子も参加できて、満足できる授業があると、子どもたちは笑顔が多くなり、自信がつき、学校が楽しくなります。そのためには授業をどうデザインすればいいのでしょうか。
 キーワードの1つは、「スモールステップ」です。全員参加の授業を目指した音楽の実践から見えた、音楽の授業における支援、特にリズムにおける手立てを紹介します。

〇常時活動「リズム遊び」
 音楽の授業の導入で行うリズム遊びです。教師が「♩ ♩ ♩ ♩ 」と手拍子したあとに、児童が「♩ ♩ ♩ ♩ 」と手拍子を真似る遊びです。リズムを少しずつ変えると、簡単だったリズムが難しくなっていき、その変化を児童は楽しみながら手拍子をします。慣れてきたら先生役を児童にしてもらいます。休符や八分音符を入れるなど、様々なリズムが出てきます。その工夫を教師が認めてほめることで、児童は自信がつきます。また、友達のリズムを真似して手拍子ができることで、満足感を得ることができます。この活動を音楽の授業の導入に常に取り入れることで、全員が楽しめる遊びに変わっていきます。また、リズムよく手拍子をすることで楽しい雰囲気を作ることができます。

〇小節ごとにリズムを確認
 新しい曲に出会ったときは、1小節ごとにリズムを確認することで、既習の教材とつながりを持たせやすくなります。例えば、「小さな世界」の「♪せーかいは」と「ふじ山」の「♪あーたまを」ではリズムが同じです。短く区切ることで、前の学習を思い出し、自信をもって学ぶことができます。また、「リズム遊び」とも結びつきやすくなります。

〇曲の速さをコントロール
 その曲のリズムに合わせて手拍子をするときに、初めは速さを遅くします。少しずつ原曲に近づけることで、練習も重ねられ、リズム打ちができるようになっていきます。

〇リズムをペアで教え合い
 リズムを確認するときに、ペアで確認をすると、教え合う意識がうまれます。自分の右手を相手の左手の上にのせて手拍子をします。手拍子が相手とズレていないかを見つけやすくなるのです。すると、どう間違っているのか、教え合うことができます。

 このようなスモールステップと段階的なレベルの引き上げが、わかりやすく、楽しい全員参加の授業にします。活動が制限される中ではありますが、児童が授業で楽しく学べるために、何ができるかを考えることが重要となっています。先生にとっても、楽しい授業をしていきたいですね。

相模原市立鶴園小学校
西山 朋孝
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