Vol.106朝の広場の時間 子どもたちへのメッセージ②

 映像を交えることで、話の内容にも幅が出てきた「朝の広場」の校長講話ですが、内容がなかなか決まらないこともあり、ふだんからネタ探しをするようになりました。自分の専門である美術に関すること、インターネット上の情報、テレビ番組、学校生活など、話に使えそうなものはメモしておくようにしました。また、内容をまとめていく時には、できるだけ肯定的な話になることを心がけ、子どもたちの反応を想像しながら修正を加えました。

 2019年最初の「朝の広場」では、友達関係が上手くいっていないクラスの情報が入ってきたこともあり、急遽、仲の良い動物たちの写真を見せることにしました。通常なら、話の流れに変化をつけたいところですが、ここでは、子犬と子猿、子ウサギとひよこなど、違う動物同士の微笑ましい8枚のスライド写真を次々と見せて、子どもたちを笑顔にして、楽しい気持ちにすることを意識しました。受け手に実感がないと、せっかくのメッセージも半減してしまいます。話の後半では、動物の子どもたちがたくさん出てきたことを気付かせ、「子どもには仲良くできる力があるみたいだね。この動物たちのように、クラスのみんなが仲良くして、楽しい時間を過ごすことを願っています」と結ぶことにしました。

 「朝の広場」は、ランチルームのテーブルやイスを端に寄せて、全校児童が床に座って話を聞くため、発表者との距離が近く、子どもたちの反応がよく伝わってきます。同窓会があった翌週の校長講話では、学校のシンボルである『誠の鐘』の歴史について話しました(表1)。

表1

この半鐘は、戦時中に軍事用の金属製品として供出されたままになっていたもので、平成10年に東京消防庁の倉庫で偶然見つかり、56年ぶりに返還されたのです。この話のメッセージは、「この鐘(写真1)は、学校名が刻まれていたからこそ、竹早に戻ってくることができたのです。ですから、大切なものには、しっかりと名前をつけましょう」としました。その頃、引き取り手のない児童の落とし物が多くなっていたからです。

写真1 スライド15:鐘の胴体に刻まれた学校名が返還の決め手となった

同窓会の話から『誠の鐘』の歴史、そして「大切なものには名前をつけよう」、「クラスメートは一生の仲間」とつながっていく話の展開には、映像の助けが不可欠でしたが、メッセージをしっかりと伝えるためには、言葉と映像のバランスが大切です。そして、子どもたちには想像や考えるための間を用意することも必要だと思います。

東京学芸大学 教授
東京学芸大学附属竹早小学校 前校長
清野泰行
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