Vol.082Processingを用いて,図形の理解を深める学習②
~図形領域「垂直,平行と四角形」におけるおける実践〜

作図指導とプログラミング

 図形の構成の仕方(作図)は、その図形を構成する要素や図形間の関係に着目し、図形についての概念を形成しながら考察を進めていくことが大切です。しかし、指導のねらいが「作図ができること」に偏るあまり、図形の概念形成が不十分な指導に陥りやすいことも事実です。

 Processingを用いて作図の「順次処理」に着目させることによって、作図の意味や方法といった算数の理解をより一層深めることができるのではないか。そう考えた実践が、「平行四辺形の作図(4年「垂直,平行と四角形」)」です。

頂点の座標を全て与え、作図の過程に着目させる

 本実践における手立ては、「問題提示の工夫」にあります。具体的には、平行四辺形の4つの頂点の座標全てを、問題提示の際に与えたのです。

 授業の導入で、上記の平行四辺形とその頂点の座標を全て示し、「Processingを用いて作図できるか。」を問うとともに、「どのような手順で作図するのか。」を問いました。図形を描けるかどうかという「結果」だけではなく、作図の「過程」も思考の対象とするための問いです。

 ノートを用いた作図には、描いた形は残っても作図の手順は残りません。しかし、Processingは手順としてのコードが残ります。自分がどの作業をどのような順序で実行したのかを振り返ることが容易にできるのです。さらに,座標を与えたことで、作図そのものの難易度が下がり、「どのように作図したのか」という「過程」に重きを置いた思考が可能になりました。

 机間指導では「どういう順で入力したの?」「その辺から描くんだね。」といった声掛けをし、順序の意識を促しました。友達と入力したコードを見合い、自分のものと比べるなど、過程に着目した思考を促すことに成果が見られました。

創造力をかきたてる活動には課題

 最初に提示した図形で、向かい合う平行な辺同士の色を赤と青にしていたため、ほとんどの児童が板書に示した手順で作図を進めていました。既習であるノートへの作図の手順を、自然と想起したのでしょう。一部異なったのは、②の手順にある「AD→BC」が「BC→AD」の逆になった箇所のみでした。更に創造力をかきたてる活動にしていく部分が課題と言えます。

おわりに

 平行四辺形の作図においては、「順次処理」「繰り返し」が試されます。これらは、ごく単純な「論理的思考」と言えますが、その単純さ故に,それらを児童が自覚するには至っていないことがほとんどです。ですが、本実践では、作図における論理的思考の自覚を促すことにより、作図についての理解を深めることができました。

 児童の創造力を存分に発揮させつつ、プログラミング的思考と教科のねらいの双方を達成する実践を追究していきたいと思います。

北海道教育大学附属旭川小学校 西條 俊介
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