Vol.139部活動の仕事術

2022.04

 私自身が部活動の恩恵も苦難も受けてきた立場であることから、持続可能な在り方論者であることを先に述べておきます。以下、部活動顧問(以下、顧問)にとっての魅力、専門性、持続可能な在り方について、私の考えと感じていることを述べます。

1 魅力
 私が感じた魅力は大きく二つあります。
 第一に青春です。部活動にはストーリーがあります。登場人物は部員、顧問、時に保護者や外部指導者(員)も登場します。舞台は学校や試合・大会会場。舞台裏には多くの関係者や運営団体の支えがあります。自らも顧問という登場人物として、多くの登場人物とストーリーを紡いでいく楽しさや苦楽の末に感動を味わえる経験は、まさに青春であると考えます。
 第二に自己実現です。言い換えれば、顧問をやっている自分ってかっこいい、素敵だ、自分らしい生き方ができていると思えることです。理想とする顧問像は多様性があって良いと思います。例えば権威的なもの、献身的なもの、知的なもの、美的なものなどです。前向きに思い描くものがあるのであれば、大いに自分を成長させ、自信をもつチャンスとなるのが顧問です。

2 専門性
 一般的に部活動の専門性とは、活動経験や指導歴の有無、あるいは力量に関わらず自ら専門であると名乗れば専門性があるとみなされるのではないでしょうか。しかし、真に専門性とは学習指導要領における資質・能力と同様に、「学んだことで何ができるか」であると私は考えます。
 かつてラグビー選手であった私も、教員一年目はラグビー部顧問として初心者でした。ゆえに失敗をたくさんしました。コーチング、メンタルトレーニング、栄養学、レフリング等を学ぶようになり、ようやく顧問としての軌道に乗り始めました。そして、東京都中学校選抜チームの監督を務め終えた時に、やっと自らの専門性をわずかながら認められる実感がありました。「専門性とは学び続けるプロセスにある。学んだことしか教えられない。」と今では考えています。

3 持続可能な在り方
 造語となりますが、誰一人取り残さない「サステナブル部活動顧問ゴールズ」は達成できるのか。結論から言えば、達成できると信じています。ただし、達成の条件は「勇気ある対話」にあると考えます。顧問就任について校内での対話、活動内容・日数について部員や保護者との対話、外部移行について外部機関との対話、プライベートな時間について家族との対話等です。課題があるならば、黙っていないで「勇気ある対話」をしていきましょう。あなた自身の持続可能性が部活動の持続可能性なのですから。

東京都豊島区立巣鴨北中学校
主幹教諭 五十嵐夕介
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