Vol.157何のために振り返るのか

 授業が終わる5分前。振り返りの時間を取ります。今日何がわかったのか、どんなことを考えたのか、何ができるようになったのか…。そういったことを子どもたちに書かせた後、どうしていますか?
 一つは、教師が自分の授業を見直すツールとして使う方法があります。子どもたちの様子がわかり、実態に合わせて授業を修正していかなければなりません。
 しかし、子どもたちにとって、振り返りはどんなふうに役立っているのでしょうか。教師の授業改善に役立つだけで、子どもたちにメリットはないのでしょうか。何のために書かされているのかわからないので、もしかしたら「振り返りなんて意味がない」と思う子どももいるかもしれません。
 高等学校学習指導要領(平成30年告示)では、「生徒が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を,計画的に取り入れるように工夫すること」とされています。授業で学んだ内容を振り返ることを通して、学習意欲の向上や、自分が学習していることに対する見通しを立てて取り組むことにつながること、学習内容の確実な定着などが期待できるとしています。
 振り返りは子どもたちが自分の学びを客観的に捉え、主体的に学習に向かっていくために必要だということがわかりましたが、実際に振り返っているときに、子どもたちは何のために振り返るのか意識しているのでしょうか。自分の経験を思い出してみても、「よし、学習に見通しを立てて取り組むために振り返るぞ!」とか「振り返りが役に立ったなぁ」などと考えたことは、残念ながらありません。子どもたちが振り返りの意味に気付くのを待っているだけでは、振り返りはただの作業になってしまいそうです。 では、どうすればよいのでしょう。
 その方法の一つに、振り返りの観点を示すことがあると思います。どういう観点で振り返ればよいのかが明確になれば、子どもたちは自分の学びを客観的に見ることができるようになります。良い振り返りをしている例を提示するのも良いかもしれません。だんだん自分で振り返ることができるようになっていけるといいですね。
 そしてもう一つは、振り返る意味を子どもたちに伝えることです。わざわざ時間を取って振り返るのには、ちゃんと意味があることを伝えてあげれば、子どもたちもふとした瞬間に振り返る意味を感じる時が来るでしょう。振り返りを大事にする、学校としての文化も重要かもしれません。
 また、振り返りの方法を柔軟にしてみるのはどうでしょうか。紙に書くだけではなく、途中段階を写真で残したり、ICTに記録したり、方法はいろいろあります。書くのが面倒だったり、チェックに手間がかかったりするとお互いに嫌になってしまいます。互いのためになる方法を柔軟に探してみてください。
 教師にとっても、子どもたちにとっても、意味のある振り返りになりますように。

[参考文献]
『高等学校学習指導要領(平成30年告示)』p.28

高知県立高知国際高等学校 和田綾菜
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