Vol.1594月、新年度スタート!
初任・若手教員の皆さんへのメッセージ

2023.04

●子ども目線で考える

 中堅教員の位置にある私自身、初任の4月は生徒との関わりを楽しみにしつつ、「失敗したらどうしよう」と不安に思うことも多かったです。しかし、時が経つにつれて分かったことがあります。それは、「自分が満足するか、自分がどう見られるか」に視点を置くのではなく、「生徒にとって何が大切か・必要か」という視点で考えることです。
 若手教員と話していると、「自分が同僚に認められるか」や「生徒に舐められずに過ごせるか」に重点が置かれているように感じることが少なくありません。焦り、不安、責任感、承認欲求……さまざまな理由があるでしょう。それらはあって当然だと思いますが、ぜひ、「生徒を主語にした考え方」も取り入れてほしいと思います。
 そうすることで、自分と生徒との距離が縮まり、生徒が納得する指導ができるようになると思います。たとえば、生徒にとって分かりやすい授業ができる、理不尽な生活指導はしなくなる、などです。また、「地味な仕事だな……」と思っても、生徒にとって意味があるものだと分かれば、仕事に価値を見出すことができます。これは、生徒にとって価値のないことはしない=仕事のスクラップ・精選、にもつながります。

●働き方を工夫する~自己調整力~

 教員生活が忙しい日々であることは何年経っても変わりません。しかし、働き方はちょっとした工夫で大きく変わると思います。私が「やってよかったな」と思っている工夫をいくつかご紹介してみます。

(1)「その都度、達成感や充実感を得る」

 失敗したときでも、そのことで「いい学びができた!」とポジティブに捉えることは次につながるので、メリットが大きいです。

(2)「初心に戻る」

 なぜ教師になろうと思ったのか。マンネリ化しそうになったときに当初の目標を思い出すことで軌道修正することができます。

(3)「要点を見極める」

 教育活動には必ず目標があります。それを達成するために最も必要なことは何か、を見極めることが大切です。

(4)「趣味を大切にする」

 趣味は心を豊かにしますし、自分の支えにもなります。日常とは違う場、没頭できる場をもっていることを強くお勧めします。

 以上が、現場の若手教員や大学院の学卒院生の皆さんと話していて思ったことです。
 いざ現場に出るとあれもこれも要求されたり、こうしたいああしたいと欲求が生まれたり、あれができないこれがダメだと自信喪失したりしがちです。しかし、少しずつできることを増やしていく、失敗したら振り返り調整する・改善する、を繰り返していけば、必ず自分自身の成長につながります。これは子どもたちに常に言うことですが、教員にも共通することだと思います。
 そして、教師にとって最も重要なことは何か? と自問自答する時間を毎年新年度を迎える前(3~4月)に作ってもらえると、とても嬉しいです。

東久留米市立西中学校
小柳津智子
pdfをダウンロードできます!