私は30歳で子どもを授かったことを機に、小学生の放課後を支えるNPO法人を起業しました。私のNPOではアフタースクールを運営しています。アフタースクールは小学校施設を活用し、いつでも誰でも参加できます。小学生の放課後での学童保育(放課後児童クラブ)は共働き家庭でないと利用できませんが、私たちの施設はその要件がありません。毎日やっており、夏休みなどの長期休暇中は朝から開校します。特徴は活動の多様さです。小学校施設を広く活用し、スポーツ、アート、音楽、ものづくり、料理など多数の活動が行われます。そこに来てくださるのが地域や社会の「市民先生」です。子どもは活動が選べるだけでなく、多様な大人との出会いの場にもなっています。時には、子ども自身が市民先生にもなります。中高学年の子が低学年に色々と教えてくれるのです。子ども発の活動もたくさんあります。授業の延長で探究をする子、校内でカフェを運営する子(お客様は先生と保護者です)、夏祭りの準備をする子、などなど様々な子ども主体の活動が生まれます。人数は多いところでは毎日100人以上の子どもがやってきます。どんな活動をするかは子どもが選んで決めることが大切にされており、アクティブに過ごす、おとなしく過ごす、大勢で過ごす、一人で過ごす、どれもOKです。こうして活動を選ぶことで、どの子も満たされた顔をしているように見えます。宿題をしている子でさえも、自分で選んで行っているので満足そうに見えるのです。学校は苦手な不登校状態の子でも、アフタースクールにだけ来る子もいます。

私は新渡戸文化学園という学校でも仕事をしています。ご縁をいただき2019年に理事長に就任させていただきました。子ども園から小中高、短期大学まで1,300名超が通う学校です。
特徴的なのは中高のカリキュラムです。水曜日は時間割がなく、一日中探究の時間になっているのです。生徒たちは自分のテーマの探究を行います。申請すれば学校外でも活動できますので、企業や大学などに出向く子も多数います。個人でもグループでも探究を行うことが可能です。また、小学校では「全校ミーティング」という学校のルールを自分たちでアップデートしていく仕組みがあります。「こうしたら学校がもっと良くなる!」という提案がされて、小学生全員で話し合い、決まったものは試行されていきます。最近では「20分休みを30分にしたい」が提案されました。「授業が延びることもあるし、外に出て遊んで授業の準備をするとどうしても20分では足りない」という声でした。子どもは全員賛成しそうなテーマでしたが、「下校が遅くなるのは困る」「掃除をカットするのは良くない」などの反対意見も結構あります。保護者や教員の声も寄せられ、最終的に「火曜日だけやってみる」という結論が出ました。このように「とにかくやってみて、難しければ戻せばいい」という考え方がこの学園にはあります。
こうした新渡戸文化学園の取り組みの数々には「余白」「自分で選ぶ」「異学年が混ざる」「子ども主体で動く」「大人は伴走する」といった軸がありますが、これは振り返ってみるとアフタースクールで培った「放課後視点」です。その視点で学校の活動を見直すことで、新しい姿が生まれてきたのです。
学校と放課後は正反対に見えているかもしれません。あるいはまったく別のものに見えるかもしれません(文部科学省とこども家庭庁に分かれているし)。しかし子どもにとっては地続きのものですし、私は学校がいま苦しんでいる姿から抜け出すヒントが放課後にある気がしてならないのです。
小学校低学年では「学校は年間1,200時間、放課後は年間1,600時間」と言われます。学校だけに頼らずに、放課後にも視点を広げることで新しい可能性が見えてくる気がしませんか。
