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Vol.042子どもも教師も楽しめる理科の授業づくり②
「結果のズレ」を生かした授業

 教師が理科の授業を楽しむ方法は、いくつかあります。その中の一つとして、「結果のズレ」を生かした授業づくりが考えられます。教科書通りの結果が出ないときに困ってしまう先生は多いのかもしれませんが、そのような場面こそ、子どもたちとどのように結果を解釈し、どのような結論を出していくのかを考えながら授業を進めることができるため、教師が理科の授業を楽しめると私は考えています。

 そこで今回は、「第5学年:もののとけ方−食塩をとかしたとき、できた水溶液の重さはどうなっているのだろうか−」の実践について紹介します。

 実験結果から「食塩を水にとかしたとき、できた水溶液の重さは水の重さととかしたものの重さの和になる」と結論付ける学習内容ですが、子どもたちの予想は、「溶かした後は、水と食塩の重さの和よりも軽くなる」、「溶かした後は、水と食塩の重さの和になる」の2つに分かれました。また、人数も約半数ずつに分かれる等、子どもたちも私も、どのように学習が展開していくのかが楽しみになる予想場面でした。結果は以下のようになりました(表)。

表 食塩と水をとかした重さの和(ビーカー及び薬包紙の重さを含む)

 このように、1班と3班がとかした後の重さが減ったのです。子どもたちは、「4つの班は変わっていないのだから、変わらないで良いと思います」、「私たちの班は減ったから、とかすと重さは減ると思います」と意見を出し合い、数字からの意見だけではなかなか納得することができない状況でした。簡単に誤差で片付けるのではなく、「なぜなのだろうか」、「理由があるにちがいない」と考えられる子どもたちに育ってほしく、「重さは変わらないと予想していた人が多かったと思いますが、減ったことに何か原因があるのでしょうか。近くの友達と相談しながら考えてみましょう」と声掛けをしました。子どもたちは相談し合った結果、「減った原因は、デジタル秤が影響していると思います。調べているとき、0.1増えたり減ったりしていたからです」、「混ぜているときに、水溶液がこぼれてしまったのかもしれません」、「かき混ぜ棒をビーカーの外に出すとき、水溶液が付いたままだったことが考えられます」、「溶かした食塩3gの量を考えると0.2gはとても少ない量だし、残りの2.8gは重さがそのままなので、とかしても重さは変わらないと考えて良いと思います」等の意見を引き出すことができました。これらの意見を聞いた1班と3班の子どもたちは、「重さは変わらない」と、実験直後の「減る」という考えから変わりました。

 教科書通りの結果が出なかったとしても、教師の見通しをもった適切な声掛けで子どもたちは思考することをはじめ、結論を導き出すことができます。このように「結果のズレ」は、実は理科の授業づくりを教師が楽しむきっかけになり、子どもたちが育つ大切なポイントの一つだと考えています。

東京都稲城市立平尾小学校教諭
五十嵐敏文
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